ANMC21会員都市が行う、先進的な取組を紹介していきます。 |
(1)FROM東京 〜東京都の下水道技術をアジアに「ホーチミン市下水管理能力向上プロジェクト」に参加しました〜
ベトナム最大の都市ホーチミン市。近年、人口は毎年20万人ずつ増加しており、ついには700万人を超え、都市化と工業化が急速に進んでいます。
それに伴い、未処理の家庭排水や工場排水の流入による河川の水質汚濁と、排水施設の処理能力不足による浸水被害が深刻な問題となっています。特に、雨季(5月〜10月)には、市街地等で浸水が多く発生し、市民の健康や生活に悪影響を与えています。
このような状況を改善するため、日本の円借款事業として、中心市街地などの下水道管整備、既設下水道管の改修、中継ポンプ場や大規模下水処理場の建設が行われており、東京都も技術協力を行っています。
東京都下水道局は、国際貢献の観点から、JICA(独立行政法人国際協力機構)の技術協力プロジェクト「ホーチミン市下水管理能力向上プロジェクト」に協力しています。これは、ホーチミン市職員の方々に、OJT(職場での訓練)を通じ、整備、改修された下水道施設を運営していくためのノウハウを伝えることを目的とする、1年7ヵ月(2009年5月〜2010年11月)にわたるプロジェクトです。現地への職員短期派遣と日本への受入研修を行っています。
第2回目にあたる今回の派遣では、東京都下水道局から土木職の岡本係長と機械職の須田次席の2人が参加しました。
今回、処理場・ポンプ場設備の点検方法、運転管理報告方法、委託指導、組織編成に関する提案等を担当しましたが、一例として処理場施設の台帳整備を紹介します。
施設の適正な維持管理や更新計画策定のためには、各施設の建設年次や耐用年数、仕様などの情報を整理して、必要に応じて参照できる台帳が必要不可欠です。そこで、台帳様式と整備方法を、過去の途上国支援事例や日本での経験、ホーチミン市の現状を踏まえて提案しました。その後、相手の質問に対応しながら、どの組織がどのようなスケジュールで実施していくのか合意形成を図っていきました。
技術の習得には時間がかかりますが、ベトナム人の勤勉な国民性と、勤務時間後や休日の交流などを通じて培ったお互いの信頼関係から、支援は日を追うごとにスムーズになっていることを実感しています。今後、7〜9月に最後の派遣が予定されています。
一方、ホーチミン市の技術者が訪日しての研修では、日本の下水道を目で見ることによって、ホーチミン市の下水道のあるべき姿をイメージしてもらうことに役立っています。
下水道事業の運営を通じて、ホーチミン市の公共用水域の改善や浸水被害が軽減するように、今後もきめ細かな支援を行っていく予定です。
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