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アジア通信
第12号 2011年1月31日発行
アジア大都市ネットワーク21研修事業の紹介
(1)エイズ診療従事者臨床研修
 アジア大都市ネットワーク21では、会員都市の行政職員や専門家を対象に、専門分野ごとに様々な研修プログラムを設けています。今回は、平成22年10月4日(月)から8日(金)にかけて行われた「エイズ診療従事者臨床研修」を紹介します。
Report 「エイズ診療従事者臨床研修(実施レポート)」
 本研修は、各参加都市におけるエイズ治療技術を向上させるため、参加都市の医師及び看護師を対象として東京都の病院(都立駒込病院)で実施しているものです。 エイズの診療治療に関して、症例ごとの具体的な計画の提示、治療やカンファレンスへの参加、治療薬等に関する最新情報の提供など実践的な内容の研修を行っています。本年の研修には、台北からの研修生が参加しました。

左から2人目が顏先生

 今回研修に参加されたのは、別の共同事業「アジア感染症対策プロジェクト」で中心的な役割を果たしている台北市立総合病院の顏先生。若手の日本人医師たちを交えたディスカッションでは、まるで講師のように台北の状況を講義する一幕もあり(写真)、「研修」の域を超えたやり取りが繰り広げられました。

 講義では、各都市におけるエイズ感染の状況や病院での受け入れ状況について情報交換がされました。同じアジアの都市でもエイズ治療についてのガイドラインやワクチンに関する方針が異なるなど、違いのあることが分かり、相互に興味深いディスカッションとなりました。
 また、エイズと梅毒とを併発しているケースなどが、症状や診断をくだす際の留意事項とともに紹介されました。研修生からは「梅毒についてはまとまった文献がほとんどないため、非常に参考になった」といった声が聞かれました。


熱心な議論が繰り広げられた講義

 講義の合間の休憩時間も、「去年の新型インフルエンザのときにHIVの人にH1N1ワクチンを接種したか?」などといった質問が飛び、そこから議論が始まるなど、非常に濃密な時間を過ごしていました。また、研修内容に対しては、説明が緻密なデータに基づいていること、看護師、栄養士など多くの方とミーティングを行えたことなどに対して高い評価をいただきました。

 国境を越えて伝播し、まさに「人類共通の課題」である感染症。今回の研修では、その対策の最前線を目の当たりにする思いでした。来年の研修にも多くの研修生が参加し、有意義な交流が行えることを祈っています。