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アジア通信
第12号 2011年1月31日発行
アジア大都市ネットワーク21研修事業の紹介
(2)都市における捜索・救助研修
Report 東京消防庁  消防司令補 永森 純  消防副士長 畑山 健

 シンガポール民間防衛アカデミーは広大な敷地の中に、共同住宅や飲食店での火災、フラッシュオーバーやバックドラフトなど様々な災害を体験できる施設、倒壊したビルや瓦礫、迷路室など複雑な検索訓練ができる施設等が完備されています。こうした環境の中でアジアを中心に世界各国から研修生を受け入れ、消防の国際協力と相互発展を図っています。
 今回は、私たち2名のほか、オーストラリアから10名、マカオから6名、シンガポールから6名(陸軍関係4名、技師2名)、その他モルディブ、ブータン、モンゴルの計7カ国から、総勢27名が参加しました。
 研修内容は講義と実技から構成され、まず、「シンガポールの消防・民間防衛局の概要」、「INSARAG(国際的な捜索・救助活動に関する協議機関)のガイドラインに基づいた救助活動要領」、「シンガポールの救急活動要領」、「DART(東京消防庁の消防救助機動部隊に相当する部隊)の国内での活動と海外での派遣活動事例」等について講義を受けた後、実技では、「ロープレスキュー」、「ブリーチング(コンクリート等の壊訓練)」、「ショアリング(倒壊建物への支柱を活用した救助訓練)」、「呼吸機器プロテスト(呼吸器を着装した体力・呼吸テスト)」、「音響探知機やファイバースコープを使用しての捜索訓練」等を行いました。
 研修の最後には、総合訓練として28時間の耐久訓練が夜通し行われ、研修で学んだ知識・技術を駆使して「低所から高所への救出」、「倒壊建物内での捜索・救出」、「狭いトンネル内での救出」等の訓練を実施しました。
 今回の研修では、先進的な訓練施設で充実した訓練を受けることができ大変有意義であったと感じる一方で、大地震や津波等の大災害が発生した時の活動要領として、実際にこれらを体験している日本への期待の大きさを強く感じるなど、日本の消防分野における国際協力の重要性を認識することができました。
 また、各国の研修生と消防情勢について情報交換を行い、活動をともにすることで、相互に理解を深めることができたと思います。今後も連絡を取り合い、大災害が起こった際には情報を交換できるようにしておきたいと考えています。
 貴重な経験を与えていただいたアジア大都市ネットワーク21の研修事業関係者に心から感謝するとともに、この経験を東京消防庁の事業活動に生かしていきたいと思います。

ブリーチング 国際救助訓練