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アジア通信
第12号 2011年1月31日発行
アジア大都市ネットワーク21共同事業の紹介
 アジア大都市ネットワーク21の共同事業の一つ、「危機管理ネットワーク」では、毎年、参加都市の危機管理に関する実務担当者が集って、「アジア危機管理会議」を開催しています。昨年9月、「第8回アジア危機管理会議」が台北市において開催されましたので、その会議の模様をお知らせします。

(2)「第8回アジア危機管理会議」を開催しました
 会議は、平成22年9月17日(金)と18日(土)に、「地球温暖化と気候変動に適応した災害軽減策」をテーマとして実施されました。主催都市である台北をはじめ、バンコク、クアラルンプール、ソウル、シンガポール、東京の各都市代表者や専門家約100名が参加し、活発に意見交換を行いました。

会議風景
 初日の会議の第1部では、「都市部における大規模洪水への対応」として、平成21年8月に台風8号(モーラコット台風)による大きな被害を経験した台湾の経験及びその後の対策についての発表、また、洪水対策に力を入れるクアラルンプールや東京からも発表がありました。災害の実例を交えながら、対応策の策定と情報伝達の重要性について指摘するプレゼンテーションに、気候変動下に起こりうる大災害への対応が、大都市の共通の関心事であることが改めて認識されました。

 続く第2部では、「大規模イベントにおける危機管理」について、F1グランプリを開催するシンガポールや、G20を控えたソウル、APEC首脳会議(横浜開催)を控えた東京からテロ対策の取組について報告がありました。
 第3部では、「地すべりと土石流に関する警報・避難方針」について、新技術を生かした具体的な取組について台北から、また災害発生時にどのように海外からの援助を受け入れるかについて東京から報告がありました。

内政部消防署訓練センター

航空機災害を想定した訓練現場
 2日日の視察は、台湾中部の南投県にある内政部消防署訓練センター及び台北市内の台北101ビルの視察を行いました。内政部消防署訓練センターは、2010年1月に開設された台湾最大の消防訓練センターで、広大な敷地と最新の訓練設備を備えています。ここには、会議施設や研修生用の宿泊施設をはじめ、航空機災害を想定したボーイング737のシミュレーション機体や、大きな人工河川を利用した水上・激流救助訓練施設、住宅・工場・映画館等さまざまな火災現場が体験できる模擬訓練施設など、あらゆる想定の災害訓練現場が用意されています。また、これらの訓練現場はすべて管理塔のコントロールセンターで一括して制御されています。参加者からは、施設の素晴らしさに感嘆の声があがり、設備の内容や、訓練プログラムについて質問が相次ぎました。

台北101ビル視察
 続く視察先の台北101ビルは、2004年に当時世界一の高層建築物として建設され、ショッピングモール、オフィス、展望台等を備えた複合商業施設です。ここでは、高層ビルにおける災害対策、避難計画等の危機管理の取組を視察しました。高層ビルを多く抱えるアジアの大都市の参加者からは、ビルの防災構造や、避難体制等について多くの質問が出ました。

 全2日間の日程でしたが、主催者の台北市消防局の尽力により、参加者それぞれが有意義な経験をすることができました。次回のアジア危機管理会議は、ソウルでの開催が決定しています。