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アジア通信
第14号 2011年5月17日発行
アジア大都市ネットワーク21研修事業の紹介

(2)「資源リサイクル研修」(実施レポート)
 本研修は、東京の廃棄物処理やリサイクルに関する技術や制度の紹介、各都市の現状や課題、経験等に関する情報交換を行っており、今回で6回目の開催となります。
 今回は、「廃棄物収集の効率化と廃棄物の発生抑制」を目標に取り組んでいるバンコクから2名の技術職員が参加し、東京都におけるごみ処理や廃棄物政策、リサイクル等について学びました。
 
収集現場の視察
 視察初日は、東京の3R(Reduce, Reuse, Recycle)の取組を理解するため、豊島区でのごみ収集作業現場から始まりました。バンコクでは住民に廃棄物の分別がまだ浸透しておらず、収集作業にも時間を要するとのことで、集積所に規則正しくごみが分別され、時折住民も協力して手際よく収集作業が行われている様子に、研修生は驚きを隠せない様子でした。ごみ袋は有料であるのか、処理費用はかかるのか、なぜ人々が協力的なのか等について、研修生からは実務的な質問が相次ぎました。
 また、粗大ごみについて、収集を担っている民間事業者とその中継所、また粗大ごみの修繕と展示販売を行っている区のリサイクルセンターなどを視察し、自治体と民間が役割分担し、廃棄物の減量化に努めている仕組みを学びました。

生ごみ飼料化施設の視察
 視察二日目は、中央防波堤埋立処分場において、海面を利用した埋立処分場の管理や課題等について講義と視察を行った後、東京都が平成14年から取り組んでいるスーパーエコタウン事業を視察しました。これは、東京臨海部の都有地において、民間事業者が主体となって廃棄物処理・リサイクル施設の整備・運営を進めている事業で、今回はそのうち、2つの食品廃棄物リサイクル施設を視察しました。それぞれ生ごみから電力、生ごみから飼料を作り出す、という画期的な事業を行っています。バンコクでは食品廃棄物の処理が課題となっていることもあり、研修生は食品廃棄物の収集方法や費用、発酵に使用する微生物などについて次々と質問し、「食品からエネルギーを取り出す施設はこれまで見たことがなく、非常に感銘を受けた。」と興奮した様子で話していました。
 最後に開催された、鳥取環境大学の田中勝教授によるオープン講座「発展途上国における戦略的廃棄物管理」には、多くの都職員が参加して活発な質疑が行われ、盛況のうちに終了しました。
 研修を終えた研修生からは、「埋め立てに回る残余物を減らす技術は良いと思うので、バンコクでも近い将来導入したい。今回の研修では、廃棄物を減らすための様々なハイテク技術を見ることができ、非常に良かった。」と前向きな感想をいただきました。
 5日間という短い研修期間でしたが、研修生からの熱心な質問が終始飛び交い、またお互いの国の廃棄物処理事情について幅広く意見交換を行えたことで、研修生の満足いく研修となったようです。次回の研修にも多くの研修生に参加いただき、アジア各国の課題となっている資源リサイクルについて、有意義な情報交換ができることを願っています。