(1)アジアに広がる東京の救助技術
〜バンコク×東京 汗と涙の3週間〜
救助技術研修は、東京消防庁がANMC21の一環として、アジア各都市における救助技術の推進指導者を養成し、各都市の実態に即した消防救助技術の向上を目指すことを目的とした研修です。
この研修は、2008年から毎年実施しており、2010年で3回目の実施となりました。
○指導者研修 in Tokyo 2010年10月27日〜11月10日
バンコク都消防救助局から6名の研修生を東京に迎えて、指導者研修を実施しました。この研修は、救助技術指導者を育成するための研修です。
バンコク都では、都市部とその郊外に広がる農園という市街地の構成が日本と似通い、出火原因が似ていること、また体格も日本人と近いことから、西欧等よりも、日本の消防技術や資器材の方が実状に合っているとのことです。2011年2月のバンコクでの救助技術研修に先立ち、指導者としての役割を担ってもらうために東京消防庁の研修施設で実施されました。
|
○救助技術研修 in Bangkok 2011年2月7日〜24日
東京での研修から3か月後、バンコクで救助技術研修が実施されました。指導者研修に参加した6名の研修生が、そこで学んだ知識・技術を最大限活用し、指導者としてバンコクの研修生に広める絶好の機会です。東京消防庁からも3名のレスキュー隊員、消防司令 藤原正直さん、消防司令補 中山智博さん、消防士長 遠藤孔仁さんが訓練指導補助講師として派遣され、6名のバンコク都消防局指導者とともに、バンコク都消防局員74名に東京の救助技術を伝授しました。
研修1週目は、ロープを使った基礎的な救助方法の訓練を行いました。平成20年度にもバンコクで同様の研修を実施しており、その研修の成果もあって、ロープの技術についてはよく習得している人もいました。2週目以降は主に、指揮者の統制のもとで組織活動を円滑に行えるように、チームワークの醸成に重点を置き、実際の火災現場を想定した訓練を行いました。そして、研修最終日は、締めくくりとしてこれまでの研修内容を総括した総合訓練です。研修当初は、基礎的な技術が不十分な研修生や、また組織風土の違いから、指揮者のもと組織立って行動することに慣れていない研修生もいたそうです。でも国は違っても、やはり同じ消防士。最後の総合訓練では、全員が真剣に取り組み、指揮者統制のもと規律厳正かつ士気旺盛な訓練となり、3週間の研修成果を存分に発揮することができました。研修の大きな成果を確認するとともに、環境・習慣・言葉など様々な違いを乗り越え、研修生と講師の間に強い心の絆が生まれた瞬間でした。
今回学んだ研修生たちがバンコク都の救助技術指導者として、研修を通じて習得した基礎的な救助技術や、指揮統制のもとで行う組織活動などを現場で活かし、またバンコク都消防救助局内により広く伝えていくことが期待されます。
|