(2)景観と洪水対策を両立させた東京の取組 〜スーパー堤防に大きな関心〜
タイムリー研修として東京が企画し、2011年1月25日から27日に初開催した、「洪水・高潮対策研修」について紹介します。
アジアの都市は毎年多くの洪水被害を受けています。本研修は、東京都のこれまでの経験やノウハウ、ハード整備やソフト対策における先進的な取組事例を各都市の研修生に提供し、アジアで共通の課題となっている洪水・高潮対策の向上を目的に開催しました。
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バンコク及びシンガポールからそれぞれ2名の技術職員を迎え、実践的な講義・視察が行われました。
研修初日は講義。各都市の抱える課題や施策に関する発表に続き、東京都建設局河川部からスーパー堤防、洪水調節池、洪水予報等のシステムについて講義があったほか、下水道局から下水道の浸水対策が紹介されました。講義の合間には実際に洪水予報のシステムを前にした説明が行われ、集中豪雨による都市型水害が発生しているシンガポールからは、神田川の洪水予報システムや、隅田川地域のような海抜の低い地域における排水処理手法に対して高い関心が示され、集中的に質問をしていました。
続く2日間は視察。地下調節池やポンプ所など、洪水を抑制するための施設を視察し、維持管理方法や、運用の方法について質疑が繰り広げられました。
スーパー堤防や、江東内部河川の視察では、チャオプラヤー川流域の洪水対策強化のための整備を進めているバンコクの研修生から、市民生活と調和したテラス整備の手法に高い関心が寄せられていました。
研修を終えた研修生からは、「景観と洪水対策を両立させたスーパー堤防の取組が特に参考になった。今後も視察などを通して学びたい」「研修中に築いたネットワークはとても貴重。今後も今回の研修で出会った職員の方とコンタクトを取り、洪水対策に関するノウハウについて学び続けたい」といった熱いコメントが寄せられました。
3日間の研修を通し、バンコク、シンガポール、東京の洪水・高潮対策について相互に理解を深めることができ、また、短い期間ではありましたが、各々、講義・視察に意欲的に参加し、成果を自都市に持ち帰っている様子でした。今後もこのネットワークを活かし、各都市の洪水・高潮対策が向上することが期待されます。
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