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アジア通信
危機管理特別号 2011年9月22日発行
東京都職員被災地へ
 震災発生後から、東京都職員は被災地で支援活動を行いました。
 ここでは被災地支援活動を行った職員から、被災地での活動内容について報告します。

(1)り災証明書発行業務
REPORT:東京都知事本局秘書課 田中 香葉子さん

石巻市内の被害状況

私は5月3日から8日までの6日間、宮城県石巻市に東京都からの人的支援として派遣されました。
 石巻市は面積555ku、人口約16万人、日本有数の漁港を有する県下第2位の都市ですが、震災による大規模な津波により壊滅的な被害を受けました。
 現地に到着後、震災当事多くの住民が避難された高台の公園より沿岸部と河口地域を視察しましたが、眼下は街という形態は全く失われ、津波により流された瓦礫の山で一面埋め尽くされていました。私は、その光景を目の当たりにし、犠牲になられた方々に思いを馳せると、思わず手を合わさずにはいられませんでした。
 派遣期間中、私は石巻市役所において「り災証明書」の受付業務を担当しました。この業務は、一日に数百件を超える申請があることから、各県からも多くの職員が派遣されていました。

り災証明申請受付

 「り災証明書」は、家屋の被災程度を証明するもので、義援金の受取など、被災された方々が今後、様々な支援を受ける際に必要となる書類です。私は、申請にこられた方々に、家はどの位の高さまで浸水したのか、地震によって壁にひびが入ったり、家が傾いたりしたのかなど、具体的な被害の状況を伺い、申請のお手伝いをしましたが、同時に震災の生々しさを直接被災者から聴取することにもなり、震災の実感をつかむ上でも、とても貴重なものになったと思います。また、派遣期間中、石巻市職員の方に「東京でこんな災害が起こったら大変だろうね」と声をかけていただいたことがとても印象に残っております。自ら被災されながら東京に思いを寄せ、日本の首都で同様の被害が出て欲しくない、という願いや祈りがこもった言葉のように感じられ、大変心を打たれるとともに、首都東京の公務員としての自身の責任の重さを改めて自覚いたしました。
 派遣されていた頃は、ちょうど桜の花が咲いており、雪が降りしきる震災当夜の状況を思い起こすと、まさに時の流れを感じずにはいられません。市内には、早朝の部活動に向かう学生の姿も見受けられ、スーパーや飲食店が営業を再開するなど、少しずつではありますが日常を取り戻しつつある兆しを垣間見ることができ、その復興の一翼を担えたことに対する充実感を抱きながら私は帰京いたしました。
 被災地域の復興は、まだまだ途半ばではありますが、今回派遣に参加した貴重な体験を忘れず、機会があれば再度派遣に参加することも念頭に入れながら、石巻市を中心とした被災地域の復興までの道のりを今後も注視していきたいと思います。