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アジア通信
第26号 2013年5月29日発行
首都大学東京で学ぶ留学生インタビュー(前編)
―東京で学ぶことを決めた理由―

 2012年10月から首都大学東京に入学した留学生2人へのインタビューを2回に分けてお伝えします。前編は、クアラルンプールの留学生ハルパルさんへのインタビューです。

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Interview with

ハルパル シンさん

出身地:
マレーシア、クアラルンプール
研究テーマ:
「新興・再興感染症予防のための迅速かつ
信頼性の高い診断法の開発に関する研究」
http://www.sd.tmu.ac.jp/yanglab/yanglab/Welcome.html
http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-lab/242-vir1/1872-vir1-top.html

Profile of my hometown:マレーシア、そして東京

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研究活動を共に行う国立感染症研究所の同僚、ウイルス1部の西條政幸部長(前列右)と共に

 マレーシアは「Truly Asia (真のアジア)」というキャッチフレーズを世界に向けて発信していますが、これ以上正しい表現はありません。マレーシアがあらゆる面から見てアジアの美しい国であることは間違いありません。素晴らしい観光スポット、文化、宗教、食、人、言葉、建造物があり、伝統的なものと現代的なものが互いを高めあいながら共存しています。多くの面でマレーシアはひとつの「Pot」のように、アジアが集約されている場所だと私は思います。私が住むクアラルンプールは、人々にはKLと呼ばれており、マレーシアの最も人口が多い都市であり、首都です。この活発で賑やかな都市の住人のことを、現地ではKLitesと呼んでいます。
 マレーシアと日本の関係はとても良く、私が今日本にいるのもそのお陰です。過去30年にわたり、マレーシアと日本の間では常に人の行き来があり、私のように東方(日本)に高い関心を持つ人がいます。日本を産業、教育、経済的な成功へと導いたスキルや勤労意欲を身につけたいと思う人がたくさんいます。日本人はオープンで、昨今の非常に高い経済成長を実現させた原則をマレーシアに開示することに積極的です。
 日本には、私のような新世代のマレーシア人が、この日本とのギャップを簡単に超えられるようにしてくれる橋があります。首都大学東京のようにマレーシア人の学生に門戸を開放してくれる大学があり、マレーシア人の卒業生を雇用してくれる会社があり、そしてマレーシア人の学生を受け入れてくれるホストファミリーの存在があります。私自身も日本人の親切さとオープンさに大きな感動を覚えました。博士号のために来日する前、「留学が終わったとき、スキル、価値観、専門性といった面で半分でも日本人らしくなれたなら、大きな達成感を覚えるはずだ」と感じたくらいです。

 

 私は日本のすべてが好きです。勉強や研究をする中で出会った人々はとても頼りになり親切で控えめですが、特に学習の過程でいつも積極的に手を貸してくださいます。教授陣(首都大学東京の楊 明教授、菅又 昌実教授)や大学の職員は、私の日本での生活が快適なものになるように力を尽くしてくださっています。日本人の規律と礼儀正しさには特に尊敬を覚えます。時刻表どおりに運行され接続の良い日本の鉄道網も素晴らしく、世界のどこへ行ってもこれほど素晴らしいものをこれまで見たことがありません。
 来日し、日本で博士号のための研究を行い、日本の文化、道徳、伝統的価値を学ぶことができる私はラッキーだと思っています。現在もそしてこれからも私の日本での生活の一部である東京都と日本のみなさんに心からの感謝を伝えたいと思います。日本での生活はおそらく私の仕事人生の中で最も重要な節目となるでしょう。

 

日本への留学を決めた理由

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満開の桜を見に、井の頭公園へ
桜の美しさに感動!

 以前WHOで働いていたときに、日本人と一緒に働く機会がありました。実は当時の私の上司も日本人だったのです。その方は、葛西 健氏で、現WHOベトナム事務所長です。葛西氏は多分私が出会った中で最も献身的で親切で聡明な方であり、私の仕事人生の中で最も重要な人物になると思います。
 私が日本で勉強しようと決めた理由をほかにも挙げると、真に尊敬に値する日本人の勤労意欲とまじめさ、教育レベルの高さ、日本の経済発展、近代的な研究設備、そして素晴らしい学習のプロセスがあります。それは私の仕事人生の中で最も重要な時期になると思います。
 来日前に決めていた優先事項は、博士号の取得はもちろんですが、それと同時に文化、食、言語、伝統的価値、そして仕事をする上での道徳心など、日本のすべてを体得することでした。来日後数日間で、TMUの教授陣や職員の日本人の優しい心に触れる機会があり、クラスメイトは私が気持ちよく溶け込めるよういつも積極的に助けてくれました。これ以上素晴らしい環境はありません。

 

アジアと私:アジアでの役割

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私の研究を、アジアの感染症予防に役立てたい

 東京都の支援を得て、東京で博士号を取得するというチャンスをいただきました。この機会に、東南アジア地域での感染症を抑える対策を考えるために必要な能力とスキルを獲得することができると確信しています。私の研究の成果を、特にアジア内での感染症の流行を発見・予防するための先進的で迅速で確かな診断方法の開発に役立てたいです。特にASEAN諸国で、保健制度を強化し、感染症の「輸入国」や「輸出国」をなくし、各国、地域、そして世界の健康面での安全の確保につなげたいと考えています。

 

アジア通信を通して伝えたいメッセージ:日本での博士号取得を目指すマレーシア人学生へ

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首都大学東京担当教授と共に
(左:菅又昌実教授 右:楊明教授)

 東京でのこの3年にわたる研究期間は、私たちにとって、最も大事なことの一つになるでしょう。ですから、そのチャンスを賢く活かし、しっかり勉強し、努力をし、とはいえ仕事と生活のバランスを大事にしてください。そしてクラスメイト、友達、先生をはじめとする素晴らしい日本人からの支援に感謝をしましょう。
 私の日本での生活の一部となるすべての人に、感謝の気持ちを持ち続けたいと思います。この経験は、私の人生を非常に高いレベルのもの、達成感を得られるものにしてくれると思います。