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アジア通信
第26号 2013年5月29日発行
Persons of Asia 〜アジアをつなぐ東京都職員〜
―アジア大都市ネットワーク21フォーラム実施報告―

 東京都では、「Persons of Asia 〜アジアをつなぐ東京都職員〜」と題し、アジア大都市ネットワーク21(ANMC21)フォーラムを実施しました。100人を超える都庁職員参加のもと開催された本フォーラムの模様をご紹介します。

 

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東京消防庁からの報告

 2013年3月7日、ANMC21フォーラムを東京都庁で開催しました。このフォーラムは、東京都職員の「ANMC21をはじめ東京都の国際業務はどんな仕事をしているの?」「実際に携わっている人はどんな人なのだろう?」「国際業務に興味があるけれど、どんな人が向いているの?」という疑問に答えるべく、企画されました。
 当日は、ANMC21事業の紹介に始まり、シンガポールで実施された「都市における捜索救助研修」に参加した東京消防庁職員からの報告、そして「ANMC21で活躍する職員と語らう」べく、パネルディスカッションを実施しました。
 今回パネラーとして登場したのは、ANMC21事業を担当する5人。環境や福祉、観光など様々な分野でANMC21事業に関わってきた5人が、国際業務を進める上でのポイントや、国際人材に求められる資質について、経験に基づく率直な議論を展開しました。
 最初に議論になったのは、国際業務の醍醐味とは何かという点。これについては、国際業務を通じて生まれる「人」との出会いを、パネラー5人が共通して重要な要素の一つに挙げました。

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パネルディスカッションの様子

 「国内・国外問わず、様々な関係者と出会えることは国際業務で得られる財産の一つです。海外との調整では連絡がうまく取れないことも多く、プログラム参加者が日本に到着するまでハラハラすることもあります。でも、実際に会っていろいろと話をするうちに、思いがけない話題に花を咲かせることもあります」
 海外との調整は時に困難な場面もありますが、そういった状況を乗り越えることで友好関係を深めることができる、というのはパネラー全員の一致する意見でした。また、海外とのやり取りを通して、東京都との共通点や東京にはない事例を学ぶことができるのも大きな魅力の一つのようでした。

 さて、話は参加者の誰もが気になる、国際業務を推進する人材に求められる「資質」について進みました。フォーラム参加者に質問したところ「コミュニケーション能力が必要だと思う!」という意見が大多数。ただ一方で、そもそも海外との業務を進める上で「語学力」を気にする参加者も。これに対し、パネラーの一人からは、こんな意見が出されました。
 「言語はツールでしかないですから、文化が異なる人々を相手に自分の考えを伝えられる調整力が重要だと思います。また、双方の違いのなかで事業を進めていくバランス感覚も必要だと思います」
 「国際業務」と一口に言っても、事業の目的、内容、進め方は異なるものです。一定水準の語学力は求められるものの、どの事業にも一貫して必要なのは、国際業務に携わると誰もが経験する想定外の事態や、トラブルに対して柔軟に対応する能力ではないかと、パネラーは話しました。

 

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満員の会場
参加者は熱心に耳を傾けた

 最後に、東京都が国際事業を展開する意義、そして、東京都の国際事業が進むべき方向性について、水道局で国際ビジネスを推進するパネラーからは次のような話がありました。
 「国際事業を東京都が展開する意義の一つは、東京都のプレゼンスを高めること。世界では地域や国ごとに様々な水に関する課題を抱えている。そうした中、水道局は世界有数の施設規模と高度な技術を有する水道事業体として、世界の水道における先導的な役割を果たすことが求められている。国際協力を推進することで、アジアにおける東京都のプレゼンスを高めていきたい」
 今回ご紹介できたのはフォーラムのほんの一部。パネラー5人と大勢の聴講者のもと、予定時刻を過ぎてもディスカッションは尽きることがありませんでした。
 フォーラム終了後、参加者の一人は、「華々しいイメージのある国際業務も、地道な調整や忍耐力、人とのつながりがキーになる、というのは新たな発見だった。話を聞くだけではなく、今後自分も国際業務に従事してみたい。そのために自分が今何をすべきか考えたいと思う」と話していました。東京都に求められる国際事業のあり方を様々な角度から率直に話し合うことができた今回のフォーラムは、参加者はもちろん、これまで国際業務に携わってきたパネラーにとっても得がたい経験となったようです。今回のディスカッションを一つのきっかけにしながら、東京都はこれからも、アジア、さらには世界の情勢に応じた国際展開に取り組んでいきます。