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アジア通信
第28号 2013年9月26日発行
東京の事例をもとに、アジア大都市の課題を考える4日間
―「交通研修」と「地震研修」、2本の研修を東京で開催―

 ANMC21では、会員都市の行政職員や専門家を対象に、専門分野ごとに様々な研修プログラムを設けています。今回は、2013年7月9日〜7月12日にかけて行われた「公共交通機関総合計画の策定支援研修」(以下、交通研修)及び「地震に強いまちづくりに関する研修及び共同研究」(以下、地震研修)を紹介します。

 交通研修・地震研修は東京都都市整備局で所管しており、交通研修は都市基盤部交通企画課が、地震研修は市街地整備部企画課及び市街地建築部建築企画課が研修内容の企画、運営をしています。両研修の導入部と取りまとめについては都市づくり政策部広域調整課が担当しています。

 今年は、交通研修はバンコクから1名、ジャカルタから2名の計3名、地震研修はバンコクから1名、デリーから1名、ジャカルタから2名の計4名の参加者を迎えて研修を行いました。

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開講式

【研修1日目】

 東京都庁第二本庁舎1Fで研修参加者をお迎えしました。遅れて来られる方もいるかなと心配していましたが、皆さん時間前に到着されていました。東京はちょうど梅雨が明け、35℃を超える猛暑日でした。この時期東京では「クールビズ」と言って、ノージャケット、ノーネクタイで仕事をするようになっています。暑い中にもかかわらず、ジャケットにネクタイを締めて来られた参加者もいらっしゃいました。
 皆が揃ったところで、都市整備局長室に行き、開講式を行いました。冒頭で局長が、英語、タイ語、インドネシア語で挨拶されると、場はとてもなごやかなものになりました。

 開講式後、まず、交通、地震研修の参加者全員を対象にした、東京のまちづくりについての講義から研修はスタート。その後、交通研修と地震研修に分かれ、研修を行いました。
 交通研修は、東京の公共交通の基本的考え方や明日からの視察についての事前説明を実施。地震研修は日本の耐震規定の変遷や緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についての講義を行いました。
 講義終了後、都庁第一本庁舎32階食堂にて、研修参加者を歓迎するウェルカムパーティーを開催しました。参加者はにぎやかに談笑し、都市間の交流を深めました。パーティー終了後、都庁第一本庁舎45階にある展望室へ行かれた方もいました。展望室は9時半から23時まで無料で入室出来ます。東京スカイツリーや東京タワー、新宿パークタワー、東京オペラシティを展望でき、空気が澄んでいる時は富士山も見えます。読者の皆さんも東京に来られる際は、ぜひ45階展望室にお立ち寄り下さい!

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ウェルカムパーティー

【研修2日目〜3日目】

交通研修:
 交通研修2日目は、都バス事業や東京のTDM(交通需要マネジメント)についての講義から始まりました。都バス事業についての説明では、乗車料金収入で事業費をまかなっていて、運行に対して補助金を投入していないことに研修参加者から驚きの声が上がりました。
 講義が終り、新宿駅から地下鉄で葛西駅に行き、地下鉄博物館に向かいました。地下鉄博物館では、東京の地下鉄の歴史などについて、博物館の方から説明を受けながら、シールドマシンや電車設備の模型等を視察しました。次に、PTPS(公共車両優先システム)が導入されているシャトルセブンというバスに乗車しました。次の視察先である東京駅では、JR東日本の方から東京駅の丸の内駅舎復原工事について説明をしていただき、創建当時の姿に復原された東京駅を視察しました。また、都の担当者による東京駅周辺都市基盤都市計画変更や、東京駅と皇居を結ぶ「行幸通り」についての説明後、実際に現地を視察しました。「行幸通り」は皇室の公式行事や外国大使の信任状奉呈式で馬車列が行進するなど、特別な用途も併せ持つ由緒ある道路です。視察に訪れた2時間ほど前に外国大使の信任状奉呈式のための馬車列の行進が行われたとのことで、その時の写真を現地で見せて頂きました。東京駅視察で、交通研修2日目は終了しました。

 交通研修3日目は、各都市参加者からの発表から始まりました。最初にバンコクより、交通概要の他、バンコクモノレールについて発表がありました。続いて、ジャカルタの交通事情について発表がありました。各都市の現況や施策等についての活発な質疑応答があり、各都市にとって、有意義な情報交換の場となりました。

 参加者からの発表後、都営地下鉄大江戸線で汐留駅に向かい、新交通「ゆりかもめ」に乗車しました。この「ゆりかもめ」はコンピューター制御による自動運転がされています。その後、都営バスで東京スカイツリーへ向かい、事業者から東京スカイツリーと周辺まちづくりについて説明を受け、現地を視察しました。

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    交通研修地下鉄博物館視察
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    交通研修東京駅及び行幸通り視察

地震研修:
 地震研修2日目は、防災まちづくり推進計画や現地視察についての講義からスタート。講義終了後、貸切バスで池袋防災館へ向かいました。向かう際、昨日からの講義に出てきた緊急輸送道路を通りました。池袋防災館では一般見学者と共に施設を視察し、東日本大震災の揺れを地震コーナーにて体験しました。揺れの大きさに研修参加者は絶句し、地震への備えが非常に重要であるとの感想が聞かれました。その後、耐震改修された新宿センタービルに行き、耐震改修工事を施工した事業者より耐震改修について説明を受け、設備の見学を行い、地震研修2日目は終了しました。

 地震研修3日目は、木造住宅密集地域の解消に向けた取組や震災復興計画についての説明を行いました。そして講義終了後、東京都庁の防災センターを視察しました。この防災センターは災害が起こった際には東京都の対策本部となる場所で、都庁屋上やレインボーブリッジなどに設置しているライブカメラの映像を大型スクリーンで映すことが出来ます。視察時、都庁屋上のライブカメラを操作して東京スカイツリーをズームアップしたり、レインボーブリッジのカメラを操作して東京ゲートブリッジをズームアップしてもらいました。この日は猛暑日で、映像がゆらゆらと揺らいでいました。災害時には警視庁及び東京消防庁のヘリコプターに搭載したカメラで撮影した映像を、コンピューター上の地図へリアルタイムで落とし込むという東京独自のシステムがあります。実際に以前撮影した映像を紹介した際は、研修参加者から感嘆の声があがりました。
 視察終了後、研修会場に戻り、各都市参加者から発表がありました。最初にバンコクから災害について、特に火災についての問題点と解決策についての発表がありました。次にデリーから災害管理について、特に、デリーと地震、デリーの災害対策に対する備え及び大規模な避難訓練の様子などの発表がありました。最後に、ジャカルタから地震災害と災害管理のための都市計画について発表がありました。インドネシアの災害や活断層について、ジャカルタ周辺の洪水域、地震に対するハザードマップ、地震への備えと将来計画についての発表でした。いずれの発表に対しても活発な質疑応答があり、各都市参加者にとって、有意義な情報交換の場となりました。
 発表終了後、都合により最終日の研修に参加できない参加者の研修修了証書授与式を行いました。

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    地震研修東京都防災センター視察
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    地震研修集合写真

【研修4日目】

 研修最終日、交通研修はアジア諸国の公共交通について、地震研修はアジア諸都市の防災政策についての説明と意見交換を行いました。その後、閉講式を行い、4日間の研修は無事終わりました。閉講式では、都市整備局長から研修をねぎらう挨拶がありました。また、研修参加者からは、「東京都の担当者は皆親切で、講義も大変有意義であった」との感想をいただきました。

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    閉講式
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    閉講式後集合写真

 毎年行っている交通研修及び地震研修ですが、研修参加者のアンケート及び申し込み時の要望等を受け、有意義な研修となるよう心がけプログラムを構成しています。ぜひ、皆さんの研修参加をお待ちしています。

 最後になりますが、研修参加者の皆さま、お疲れ様でした。そして、講義の講師及び視察先で協力していただいた方々、本当にありがとうございました。