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アジア通信
第30号 2014年1月29日発行
アジア大都市に共通する交通問題の解決を図る
―東京でITS研修を実施しました―

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初日 各都市の交通施策についての発表を行った

 2013年10月15日から17日までの3日間、ITS (Intelligent Transport System: 高度道路交通システム) 研修を東京で開催しました。本研修は、アジア大都市ネットワーク21(ANMC21)の共同事業「職員能力向上プログラム」で実施している研修プログラムの一つ。アジア大都市が抱える喫緊の課題をテーマに研修を行う「タイムリー研修」の枠組みで開催しました。今回、最先端の情報通信や制御技術を活用したITSを取り入れアジア大都市の交通問題解決を目指すことをテーマに参加者を募集したところ、バンコク、クアラルンプール、マニラ、台北の4都市から8名が集まりました。

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2日目 警視庁交通管制センターを視察

 本研修の大きな特徴だったのが、研修期間中に開催されるITS世界会議に参加できる、ということでした。この会議は毎年開催されている世界会議で、2012年のウィーン開催に続き、2013年は東京で開催されました。研修生は、本会議でのセッション聴講や、展示ブースを見学したほか、会議に参加している海外都市や企業と幅広い観点で情報交換を行うことができました。さらに、デモンストレーションに参加した際には、道路交通情報や災害発生時の緊急避難通報など、スマートフォン上に連続的に表示される様々なサービスを実際にバスに乗車し高速道路を走行しながら体験することができました。

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研修最終日の総括ディスカッション

 さて、今回は開催都市である東京都を含め、5つの都市の交通施策担当者が一堂に介しました。都市によって、課題や取組方は様々。そのため、参加者同士の情報交換や質疑は非常に興味深いものとなりました。
 東京都に集中した質問はITSについてではなく意外にも、「運転者の教育はどのように行っているのか?」というもの。信号を無視したり、危険な運転を行う運転者が少ない、ということを東京にきて自ら実感した参加者からは、運転免許の取り方から罰金の額まで、東京都の担当者としては予想をしていなかった質問が相次ぎました。

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研修生と東京都の担当者で記念写真

 一方マニラの参加者からは、バイクのナンバープレートを用いたユニークな取組について紹介がありました。マニラでは、車やバイク、バスの交通量が多く、頻繁に発生する渋滞など交通問題はかねてから非常に大きな問題となっています。そのため、マニラ首都圏開発庁(MMDA)では、バイクのナンバープレートの下一桁の数字によって、市内に入れる車を制限し、市内の交通量を減らす試みを行っています。このような取組を実行している都市があること自体初めて耳にする参加者も多く、驚きの声も上がりました。これに対し、バイクの交通量を減らすことを同じく目的に掲げている台北からは、レンタル自転車の積極的な普及について発表がありました。しかし、自転車優先レーンが未設置であるなどまだまだ課題は多く、公共交通機関を積極的に利用してもらうための工夫も含め、引き続き市民の理解を得ながら取り組んでいきたいと話していました。

 3日間の研修を経て、参加者の皆さんはそれぞれの都市に戻り、交通問題の解消に向けた取組を続けていることと思います。今回の研修で得た知識が、各都市の課題解決に向けたヒントとなること、さらに、活発なディスカッションから生まれた都市間の相互理解や、参加者間のネットワークが今後ますます強化され、アジア全体の発展につながることを期待しています。