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アジア通信
第40号 2015年12月24日発行
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大都市における危機管理の経験を共有
〜東京都で危機管理会議2015が開催されました〜

 10月13日(火)から14日(水)の2日間、東京で「危機管理会議2015」が開催されました。危機管理会議は、主にアジアの大都市が協力し合い危機管理能力を高めていくためのネットワーク「危機管理ネットワーク」の事業の一つで、年に一度開催されているものです。
 今年東京に集まったのは、クアラルンプール、マニラ、ソウル、シンガポール、台北の危機管理専門家です。また、今年の東京会議の目玉として、会員都市以外の大都市の経験からも学ぶべく、東京は姉妹友好都市にも出席を呼びかけました。結果、北京、ロンドン、そしてニューサウスウェールズ州(オーストラリア)から、危機管理の専門家が出席してくれることとなりました。
 一方で、当初参加を予定していたバンコクが、8月に発生した爆弾テロへの対応のため出席がかなわなかったことは、大変残念でした。バンコクからは会議の成功を祈念する旨のレターが送られました。

舛添都知事による開会挨拶

 会議は、舛添要一東京都知事の開会挨拶から始まりました。舛添都知事は、東京都が9月に作成した「東京防災」の配布をはじめ、都民へ防災への備えを呼びかける取組を行っていることを紹介しました。(ちょうどこの日「東京防災」英語版が刷り上がり、出席者にお見せすることができました!)

真剣に議論を交わす

 休憩をはさんで、プレゼンテーションセッションを開始しました。出席者は今年のテーマ「災害被害を最小化するための万全の備え 〜すべての生命と生活を守る〜」にそって、プレゼンテーションを行い、活発に議論を交わしました。東京からは都民の防災意識を高めるための様々な取組や、木造建築物が密集し、大規模火災が発生しやすい地域を「燃えない・燃え広がらない」地域にしていくプロジェクトが紹介されました。台北からは今年2月に発生した航空機事故へファーストレスポンダーとして対応した貴重な経験が共有されました。クアラルンプール、ソウル、シンガポール、マニラからは、市民の防災への参画を促す取組や、大規模な訓練の実施について報告がありました。今回初の参加となったロンドンからはオリンピック・パラリンピック等の大規模イベントでの経験について、また、同じく初参加のニューサウスウェールズからは、民間部門の協力をいかに得ていくかについて、共有されました。参加都市にとって、アジア以外の都市からの発表は新鮮で、強く印象に残ったようでした。

 2日目は、東京臨海広域防災公園と、危機管理産業展・テロ対策特殊装備展を視察しました。
 東京臨海広域防災公園内にある「そなエリア」は、大地震が発生した際に何が起きるか、体験できる施設です。避難所の様子を再現したエリアでは、今まで日本人が多くの地震の体験を通して蓄積してきた知恵を学ぶことができます。非常袋に入れておいた方が良いもの、避難所で快適に過ごす方法など、子どもにもわかりやすく展示してあり、参加者には「住民への啓発の参考になる」と大変好評でした。
 また、危機管理産業展は日本最大の危機管理分野の見本市であり、参加者には日本の最先端の防災技術を見学してもらうことができました。

 今回の会議では、住民にどのように防災に参加してもらうか、いかに普及啓発を実施していくかに焦点をあてた発表が多く、住民の防災意識の向上は我々大都市に共通する課題であることが再認識できました。このような共通課題について、成功事例から学び、それぞれの都市での施策に活かしていくことにより、ネットワーク参加都市の危機管理能力が益々向上することが期待されます。今後も、危機管理ネットワークは、情報と経験を共有し、互いに学びあう関係を強化していきます。2016年の危機管理会議は、シンガポールで開催される予定です。

様々な都市からの参加者