大胆な展望により、持続可能な「未来の東京」を切り拓く過去の幾多の困難に対して、渋沢栄一や後藤新平をはじめとする偉大な先人たちは、「持続可能性」を希求し、先見性と確固たる信念、絶え間ない努力で乗り越え、東京・日本の礎を築いてきた。経済や社会の姿が大きく変貌を遂げる今だからこそ、先人たちの精神を受け継ぎ、これまでの延長線にとらわれない大胆な発想で未来を構想し、果敢に挑戦を積み重ねていかなければならない。渋沢栄一(写真:国立国会図書館)<1840-1931>渋沢栄一~誰一人取り残さない社会の実践「道徳経済合一説」~•日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は、多くの企業設立に携わる一方で、私利を追わず公益を図るとの信念のもと、当時の東京府・東京市が運営した養育院の初代院長を半世紀にわたり務めるなど、約600もの社会貢献活動に尽力した。•また、人間らしい生活を送ることができる緑豊かな環境を提供するため、郊外に住宅都市を建設する事業にも取り組んだ。この事業は、鉄道沿線のまちづくりの原型となっており、東京のまちづくりに大きな影響を与えている。•「国全体が豊かになるためには、経済発展の利益を独占するのではなく社会に還元することが大切である」という渋沢が唱えた「道徳経済合一説」は、誰一人取り残さない、多様性と包摂性に富んだ持続可能な社会を追求するという意味で、我々への示唆に富んでいる。養育院初代院長Shibusawa Eiichi10
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