(緑を確保し、魅力ある都市空間を形成する)○公園や緑地は都民が集い、憩う、便利で快適な暮らしに不可欠であると同時に、都市の品格ある景観や代表的なランドマークとなることが多く、都市の魅力を高める役割を担っている。しかし、都市間の比較においても東京の公園面積は少ない状況である。国際競争力の観点から、公園や緑地など良質なオープンスペースを確保し、気軽に散歩できるなど、暮らしに身近な魅力ある都市空間の形成を目指していく。○新型コロナ危機を契機として、ゆとりある緑とオープンスペースなどの重要性が再認識されており、公共空間や様々なオープンスペースを柔軟に活用しつつ、質の高い緑のネットワークの形成を進めていく。○とりわけターミナル駅では駅施設の再編や駅周辺の機能更新と併せて、駅と周辺の公園等を結ぶ街路に緑あふれ人中心の空間を創出し、人が憩える緑が至る所にある、歩くことが楽しいウォーカブルなまちづくりを進めていく。(東京の緑保全の取組は道半ばだが、都民の保全に対する意識は高い)○明治維新以降、都市の近代化が進む中で、都心部ではかつての大名屋敷跡が、公園や大学のキャンパスなどに姿を変え、多くの緑が今に伝えられているが、まちなかの水路や運河などは都市開発により多くが削られることとなった。○また、戦後の焼け野原から復興していく中で、高度経済成長期には急速な市街地の拡大が進み、多くの緑が失われた。○こうした都市化の過程の中で喪失した緑も、近年では、都市開発の機会を捉えた緑地の確保や公園・緑地の整備などにより、回復してきている。しかし、屋敷林や畑、雑木林などの私有地の緑は都市化の影響や相続などにより減少を続けており、全体としては緑の減少に歯止めがかかっておらず、緑保全の取組は道半ばである。○一方で、人々は、東京全体に広がる緑を後世に残し、伝える取組を進めることに関心を高めており、自ら行動し、親水公園や里山の緑の保全、水辺をよみがえらせる活動などが多く行われるようになっている。こうした活動は、東京の水と緑を守っていく取組を進めていく上で、大きな推進力として期待されている。(m2/人)88
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