(1)産業面から見た必要性
・ 航空・宇宙産業は、ハイテク度(研究開発費/生産額)の高い産業である。 また、世界における日本
のシェアは、現在でも6%程度で極めて低く、その輸出額のシェアも1.5%と低い。 航空機産業は、
部品点数からみても20万点と、自動車の2万点を10倍も上回る重要な分野である。
・ 中国は、中小型ジェット機の最終組み立てを自国で行うための戦略を強く推進している。
・ 航空機産業の人員・技術・設備等の維持向上のためには、民需・軍用相補い全体として生産・開発
能力を保つことが必要である。 民間機の価格の安さ、安全性の高さ、環境配慮等の特徴と
防衛機の速さ、性能の高さ等の特徴により、異なる技術分野を相互補完する関係である。
産業自体の存在が重要である。
(2)日本での需要の見込
・ 日本の首都圏は、空港の数も滑走路の数も世界の大都市圏と比べて少なく、1便当たりの旅客数が
格段に多い。 また、国内の旅客数も羽田が伸びなければ全体が伸びないのが現状である。
その羽田の発着枠も増えてきているが、需要がすぐに追いついてしまい、現状の処理容量は限界
である。
・ 小型機多頻度運航の世界の趨勢に従うと、リージョナルジェット機(RJ)に置き換えて増便すること
により、結果的に客足が増加することを勘案すると1日1000便、125機のRJが必要である。
日本のなかでもこの程度需要があることを個人的に試算した。
・ 新幹線との競合でいうと、所要時間3~3.5時間が境であるといわれている。首都圏とのネットワーク
が重要である。
・ RJを用いた新しい交通網を発展させるなど、もっと大きな観点からみるべきだと思う。
・ 成田、羽田、横田を一体で考えたらよいと思う。
・ 日本のマーケットだけでは、議論にならない。世界のマーケットを考えるべきである。
(3)型式認証の重要性ほか
・ 旅客機の型式認証については、欧州のJARや米国(+カナダ)のFARなどのような地域取決めが
重要で、アジアで1国ごとの型式証明を取得していくのは不利である。 開発費の10%は型式証明の
ための費用といわれており、この見通しなしには、開発はありえない。
アジア諸国の航空法の整合性を調査する必要がある。
・ 航空会社のビジネスプランとの整合性が必要。計画段階から機材引渡し段階までの
(航空会社の意思決定の)流れを踏まえてほしい。
・ 航空機産業は、産業構造改革の受け皿(雇用の創出)ともいえるのではないか。
・ 空港整備など関連インフラ整備へのODAの活用も考えるべきである。
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