(1)航空機リースについて
航空機リースが発展してきた背景としては、1)1980年代から新興航空会社が航空機リースを
活用して機材を調達しはじめてきたこと、2)1990年代からは、低コスト航空会社が急成長してきた
ことなどにある。
旅客機リース事業の対象として魅力的な旅客機とは、エアバスA320、
ボーイング737など千機単位で売れている機種である。
今後の航空機リース市場の拡大を考慮
すると、リース終了後の機体が中古市場においてどの程度の価格で売却できるか、という視点も
取り入れた魅力ある機体の開発も重要である。
(2)旅客機開発の差別化戦略
旅客機開発は、10年先のニーズをどうやって捉えていくかがポイントである。
1990年以降の環境問題への高い関心を背景に、今後は、環境への低負荷化に対するニーズが
高まると予想される。 また、将来の騒音基準強化に向けて、エンジンの低騒音化、機体騒音の
低減も重要な問題になると予想される。
複合材料を多用するメリットは、機体の軽量化による
燃費の改善などにある。
直接運航費の中では人件費と整備費が一番高いが、人件費に関しては
各エアラインとも、運航乗務員に外国人を雇用したり、客室乗務員を契約社員にするなど、
コストの圧縮に努めている。
航空会社の利益率が3~4%程度であるとすれば、エアラインに
とって整備費、燃料費などの直接運航費が低廉な機種は魅力的である。
整備費は、直接運航費のなかで人件費とともに大きな部分を占めるので、エアラインの意見を
聞きながら、設計の段階から整備費の削減について考慮する必要がある。
(3)これからの航空機と航空安全技術
全体の半分を複合材で占めるボーイング7E7の成否は、日本の技術力にかかっているといってよい。
これらの技術開発により、日本は、航空機開発において、大きなアドバンテージを得ることになる。
機器の信頼性が向上した現在、事故要因の中でヒューマンファクタの占める割合が多くなっている。
日本が今後もこの分野の研究を進めることは、わが国の航空機開発の優位性を示す上で重要
である。 電磁対策は、航空安全技術からみた民間旅客機開発の新しいポイントの一つである。
航空機のIT化が進むにつれて、乗客が持ち込むデジカメ、携帯電話などから生じる電磁波の
干渉が航行システムの正常な動作を阻害する可能性がある。
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