日本の航空機産業は、P-X(次期固定翼哨戒機)、C-X(次期輸送機)の初飛行や環境適応型高性能小型航空機(MRJ)の事業化判断など大きな節目の年を迎えています。
第7回検討委員会では、国産旅客機の成功が、アジア独自の中小型ジェット旅客機の実現に向けた大きな第一歩という認識のもと、世論喚起を一層促すために提言をまとめることと、その骨子について委員の賛同を得ました。
(1)検討委員会 提言骨子の取りまとめ
<提言取りまとめの背景>
○ アジア・中近東諸国は、2030年には中小型ジェット旅客機の需要が約6,000機近く見込める大きな市場である。
○ カナダ・ブラジルに加え、中国・ロシアでも100席前後のジェット旅客機の開発が進むなど、世界的に競争が激化しており、今年度は、国産旅客機の実現に向けた正念場である。
○ ジェット旅客機の開発は、国の安全保障、産業構造の高度化などの観点から大きな意義を有する。
○ アジアの航空機メーカーは、自社開発や欧米の航空機メーカーとの共同生産などを通じて高い技術力を有しており、また、旅客機共同開発への意欲は高い。
<東京から始めるアジアとの連携>
○ 航空分野におけるアジアとの連携を強化するために、東京都は、首都大学東京にアジアの留学生を受け入れて、首都大学東京と研究機関などが連携して実施する共同研究スキームの構築を検討していく。
<今後のスケジュール>
提言書は、今後、国際会議においてアジア航空機メーカーとの意見交換や、各委員からの意見聴取を経て年度末を目途にまとめる。
(2)中国・ロシアの旅客機開発とアジア地域における航空機産業の展望
○ 100席前後のジェット旅客機として開発が進められている中国のARJ21とロシアのSSJ100の動向について報告があった。
○ 2030年には、世界に占めるアジア地域のGDPは約30%近くに拡大し、世界市場において一層重要性が増す地域と見込まれる。
○ 現在、アジア地域における航空機産業の規模は、小さいものの、半導体や民生エレクトロニクスの生産高は欧米に肩を並べる程度に大きくなってきており、航空機産業のポテンシャルは十分にある。
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