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アジア通信
第10号 2010年10月4日発行
ANMC21研修事業の紹介
 ANMC21では、会員都市の行政職員や専門家を対象に、専門分野ごとに様々な研修プログラムを設けています。今回は、2010年7月6日〜7月9日にかけて行われた「公共交通機関総合計画の策定支援研修」を紹介します。
Report 「公共交通機関総合計画の策定支援研修(実施レポート)」
 この研修は、東京都が、アジア大都市の公共交通機関総合計画にかかわる実務担当者を対象に、公共交通機関の総合的な計画策定や事業化方策について講義するとともに、現場視察等を通じて、各参加都市が公共交通機関の整備を行う際の情報交換を行っていくものです。今回の研修には、ジャカルタから3名、台北から2名、計5名の研修生が参加しました。今回は地下鉄工事現場視察の模様を紹介します。

熱心に説明を聞く研修生
渋谷駅構内を視察
 研修では、現在再整備の進む渋谷駅周辺の視察を行いました。ここでは、東急東横線の渋谷〜代官山間の約1.4km区間を地下化する工事が行われています。研修生は、全体概要の説明を受けた後、実際の工事現場(シールドマシン発進部付近)を視察しました。地下鉄の建設計画を進行中のジャカルタの参加者からは、意欲的な質問が出る一方で、「ジャカルタでこれだけの工事をしたら、交通渋滞が心配」との意見も出るなど、現場を見ることで改めて実感する問題もあるようでした。その後、2008年6月に開業した副都心線渋谷駅構内を見学しました。この駅は、世界的に有名な建築家である安藤忠雄氏がデザインし、放射冷房を用いた最新の省エネの工夫や、世界でも珍しい自然の対流現象を利用した自然換気システムが特徴になっています。講義では、鉄道会社による沿線開発、中でも鉄道・バスや駐車・駐輪場を含む総合的な駅周辺開発事例の説明を受けました。台北の参加者からは、「台北では、MRT(地下鉄)とバス、駐車場等との統合的な計画がなされていない。こうした総合的な視点はこれから解決していかなくてはならない課題」といった意見が聞かれました。天気もよく気温も高い中、かなりの距離を歩く視察となりましたが、参加者は疲れた様子も見せず、精力的に質問をし、熱心に見学していました。

研修修了後
 研修ではその他、東京の交通計画の基本的な考え方に関する講義や、国際化・情報化に対応したまちづくりの進む汐留地区の開発現場視察を行いました。また、参加都市からは、それぞれ交通政策に関する現状や課題について発表がありました。参加都市の現状を報告しあうことで、有意義な情報交換の場となりました。
 4日間という短い期間ではありましたが、それぞれが研修内容に満足していただいたようです。研修生同士も友好を深めるなど、ネットワーク形成にも役立つ研修となりました。近年関心の高まる環境の面からも、公共交通機関の利用促進は各都市共通の重要課題です。来年度、各都市の皆様からの参加を心よりお待ちしております。