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アジア通信
第10号 2010年10月4日発行
ANMC21共同事業の紹介
 ANMC21では、大都市に共通する課題を解決するため、アジアの首都及び大都市が協力して共同事業を進めています。今回は「観光」と「危機管理」に関する共同事業を紹介します。

(2) 東京都総合防災訓練視察レポート
熱心に説明を聞くバンコクと
台北からの参加者
 ANMC21共同事業「危機管理ネットワーク」では、毎年、東京都が実施する総合防災訓練の視察を実施しています。8月29日日曜日に行われた訓練には、バンコク、韓国、台北から防災関係者が訪れ、総勢21名による視察となりました。
 日本では、一般的に毎年9月1日に防災訓練を行います。この日は、1923年に発生した関東大震災の記念日で、1960年に日本政府によって防災の日と定められました。関東大震災は、実に10万を超える犠牲者を出した歴史的な大災害です。しかし、近年東京都では、より多くの地域住民の参加を促すため、総合防災訓練の実施日を8月最後の日曜日としています。

東京消防庁幹部と挨拶
 本年の訓練は、警察・消防・自衛隊や地域住民等を含め、約15,000人の参加規模となりました。また、起震車による地震体験、煙体験や擬似被災地体験など、災害時における防災意識を高めるための体験型の訓練がいくつも用意され、これらを通して、地域住民が災害に関連する危険を直に経験し、緊急事態への備えを向上させる適切な方法を学ぶ機会となりました。
 白山通りの片側4車線を交通規制して行われた訓練には、ANMC21から台北の救助隊員10名が参加しました。東京消防庁と連携して、電動カッターやクレーンを使い、被災車両から被災者を救助する訓練を行いました。ANMC21からの救助隊員の参加は今回で5回目となります。

韓国視察団、煙体験へ!
 我々視察団は、猛暑の中、3時間かけて向丘2丁目や東洋大学等の各訓練会場を回り、地域住民参加の訓練活動の模様や体験型訓練の施設の効果を視察しました。視察を終え、バンコクの視察者からは、「住民と共同でこのような大規模な訓練を行うことは素晴らしい。バンコクでもこういった住民参加の訓練を行いたい。」との意見がありました。また、自都市の救助隊員が参加した台北の視察者からは、「こういう合同訓練を継続的に行うことが、防災対策の強化のために重要である。」とのコメントがありました。

 なお、総合防災訓練の視察を終えた視察団は、翌日には東京消防庁の災害救急情報センター、大型消防艇、消防学校など、危機管理施設の視察を行い、充実した視察日程を終えて帰国しました。今回の視察が、海外都市の防災対策の強化に繋がることを期待しています。