ANMC21会員都市が行う、先進的な取組を紹介していきます。 |
FROMシンガポール 〜「第1回ユースオリンピック」が開催されました
8月14日から26日まで、第1回ユースオリンピックがシンガポールで開催されました。視察団に随行をした、東京都の天野担当課長によるレポートをお届けします。
|
「ユースオリンピック」とは、国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長が2007年に提案した、14歳から18歳までのアスリートのためのオリンピックです。このたび、記念すべき第1回大会が8月14日から26日までシンガポールで開催され、205の国と地域から約3,500名の選手が参加しました。実施種目は、2012年に予定されているロンドンオリンピックと同じ26競技ですが、競泳リレーは男女混合、馬術やフェンシングは多国籍チームで争うなど、独自の要素も多く取り入れられました。また、選手たちは「文化・教育プログラム」への参加が義務付けられており、オリンピック精神や反ドーピング等についても学んで帰国しました。
今回私たちがシンガポールを訪問した目的は、「東京都ジュニアアスリート」※にユースオリンピックを観戦させ、未来のトップアスリートとしての見識を高めてもらうことでした。また、地元のNan Hua Secondary School(南華中学校)と交流を図ることで、国際人としての素養を身につけてもらうことももう一つの目的でした。ジュニアアスリートたちは競技の進行を固唾をのんで見守り、また、訪問先の学校では片言の英語ながらコミュニケーションをとることに挑戦し、出発前に掲げた目的は、概ね達成できたのではないかと感じています。
4日間の滞在中、アーチェリー、ボクシング、自転車、カヌーの4競技を観戦しました。選手たちの身体能力の高さや堂々たる体格にも驚かされましたが、会場内での案内、盛り上げ役なども選手と同年代と思われる若い人たちが仕切っており、「若者による、若者のための大会」が具現化されていることを実感しました。
|
私はシンガポール訪問は初めてでしたが、自国の特徴をよく踏まえた巧みな政策に感心しました。マレー系、中国系、インド系などの多種多様な人種が共存するため、マレー語のほかに、中国語、英語、タミール語も公用語とする柔軟性。路上にごみを捨てると罰金を科すなど、「クリーンシティ」の賞賛に値する観光立国としての徹底ぶり。さらに、将来、国を支えることになる子どもたちの能力開発に惜しみなく力を注ぐ教育方針。生徒たちもまた、こうした期待に良く応えていると感じました。勉学やスポーツに全力投球するまっすぐな眼差しに、残念ながら日本では失われかけている、「一生懸命さ」を見たような気がします。
ユースオリンピックは今後、2012年冬季大会がオーストリアのインスブルックで、2014年第2回夏季大会が中国の南京で開かれます。2012年大会からはパラリンピックも併せて行うという案も出ています。今後行われるユースオリンピック・パラリンピックも、単に才能を競う場にとどまらず、世界の共存や今後の人生について考える機会を若者に提供する場として、ますます発展していくことを期待しています。
|
※「東京都ジュニアアスリート」
国体やオリンピックで活躍できるアスリートを、東京で「見つけ・育て・活かす」取組として、東京都が日本オリンピック委員会(JOC)や東京都体育協会の協力を得て実施している事業。ユースオリンピック視察を行った中学3年生22名は、この事業の第一期生として今年4月から基礎トレーニングや競技体験の各種プログラムを受講している。今後、ボート、ボクシング、レスリング、ウェイトリフティング、自転車、カヌー、アーチェリーの中から自分にあった競技を選択し、能力を伸ばしていく。
なお、今回のユースオリンピック視察事業は、東京都、東京都体育協会、東京都スポーツ文化事業団、国際スポーツ東京委員会等の協力を得て実現した。このうち、7月に東京オリンピック・パラリンピック招致委員会から名称変更したばかりの国際スポーツ東京委員会にとっては、初の実施事業となった。
|