アジア大都市ネットワーク21(ANMC21)では、会員都市の行政職員や専門家を対象に、専門分野ごとに様々な研修プログラムを設けています。今回は、平成22年11月15日から19日にかけて行われた「下水道維持管理技術者研修」及び「資源リサイクル研修」を紹介します。
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(1) 「下水道維持管理技術者研修」(実施レポート)
この研修は、都の下水道施設の維持管理技術や下水道に関する先進的な取組を、会員都市の下水道技術者に対して提供するもので、平成14年度から実施しています。今回は、デリーから2名、オブザーバー参加のロシアのトムスクから1名の研修生が参加しました。 初日には、まず、参加都市の下水道事情についてのプレゼンテーションが行われました。デリーからは、処理水の水質レベルの向上とスラッジ(汚泥)の処理、トムスクからは、雨水処理や汚水処理、特に窒素やリンの除去技術の向上が課題として示されました。各都市が取り組んでいる課題についての理解を深めた上で、続いて、東京の下水道について、最新の取組、経営計画、財政、料金制度等の講義を行いました。
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二日目には、落合水再生センターを訪問しました。水再生センターは下水を処理してきれいな水によみがえらせるための施設で、東京には20ヶ所あります。ここ落合水再生センターは、新宿副都心に近く、住宅街に囲まれていますが、施設の上部を公園として開放するなど、地域住民の憩いの場となっています。当センターでは、処理水のBOD(生物化学的酸素要求量)が2程度と低く、非常に高い水準で水質管理を行っています。研修生からは、水質の向上とそれを維持するためのコストについて、熱心な質問が相次ぎました。
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三日目及び四日目は、下水道技術研究開発センター、東部スラッジプラント(アジア通信第5号で紹介)を視察したほか、東京アメッシュ(降雨情報をリアルタイムで提供するシステム)やSEMIS(下水道台帳情報システム)の活用状況、下水道管渠の維持管理技術等について、実地研修を行いました。 今回参加した3名の研修生は、いずれも高い専門知識と豊富な実務経験を有しており、研修講師と活発な意見交換が行われました。今回の研修プログラムの中では、都の非常にコンパクトな下水処理施設、高い水質管理レベル、膜ろ過施設について、印象深く勉強になったとの感想をいただきました。来年も多くの研修生の参加をお待ちしています。
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