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アジア通信
第18号 2012年1月31日発行
アジア大都市ネットワーク21研修事業の紹介
 アジア大都市ネットワーク21(ANMC21)では、会員都市の行政職員や専門家を対象に、専門分野ごとに様々な研修プログラムを設けています。今回は、2011年7月25日から29日にかけて行われた「下水道維持管理技術者研修」を紹介します。
バンコクと東京をつなぐ、下水道技術交流 〜下水道維持管理技術者研修を実施しました〜

 この研修は、都の下水道施設の維持管理技術や下水道に関する先進的な取組を、会員都市の下水道技術者に対して提供するもので、平成14年度から実施しています。今回は、バンコク都から6名の研修生が参加しました。

 今回の研修は、JICA(国際協力機構)を通じてバンコクに派遣され、現地で技術指導を行った東京都下水道局の職員と、バンコク都の下水道局職員との人脈によって実現しました。都の職員が現地の状況を実際に目にし、技術支援を行ってきていることから、バンコク都の現状課題に合わせた講義や視察が行われました。

東池袋雨水調整池を視察

 今回の研修に参加した6名は、土木職と機械職の職員で、下水道施設の維持管理などを担当しています。研修は、研修生から要望の強かった下水道管の維持管理技術を中心とした内容で実施されました。まず、研修生によるバンコク都の下水道事情についてのプレゼンテーションが行われバンコク都が抱えている課題などについて理解を深めたうえで、続いて、東京下水道の歴史や現在取り組んでいる主要施策の紹介、下水道管の維持管理に関する講義を行うとともに、下水道管の補修工事現場や下水道施設などの視察を行いました。


ミラー方式TVカメラ調査を見学

 主な講義内容としては、まず下水道台帳情報システムが挙げられます。これは、宅地図上から特定の下水道管やマンホールを選択し、その概況(下水道管の位置、深さ、管径等)を確認できるシステムで、効率的な下水道管の維持管理と、都民への情報提供のために用いられています。その他に、浸水対策の取組事例として、集中豪雨のときに雨水の一部を一時的に貯留することができる和田弥生幹線や東池袋雨水調整池を視察しました。また、ミラー方式TVカメラにより下水道管の健全度を把握する下水道管路内調査現場や、道路を掘削せずに下水道管を補修している工事現場などを視察しました。

 それぞれの視察先で、使われている機材の材質や、機材の調整方法など、現場に携わっている技術者ならではの専門的な質問が多く寄せられました。

 昨年(2011年)11月、大規模な洪水がバンコクを含むタイの多くの地域を襲い、3ヶ月近く経った今なお余波が続いています。研修生6人も対応に追われる大変な毎日だったことと思います。この研修が、各都市との下水道技術交流にとどまらず、各都市が抱える課題解決の一助になれば幸いです。

研修修了証交付式