Japanese | English
アジア通信
第20号 2012年5月30日発行
There is no boundary in the FIRE&RESCUE
〜ジャカルタで救助技術研修を実施しました〜

 東京消防庁では、職員能力向上プログラムの一環として、毎年アジア大都市ネットワーク21加盟都市に対し「救助技術研修」を実施しています。本研修は、アジア各都市における救助技術の推進指導者を養成し、各都市の実態に即した消防救助技術の向上を目指すことを目的としています。今回は、ジャカルタで実施した研修の模様をレポートします。

 

 2011年11月、ジャカルタ市消防局の指導者2名が東京消防庁にやってきました。東京消防庁ハイパーレスキュー隊が講師となり、ジャカルタの災害状況に合わせた実践的な救助活動訓練を2週間実施した後、2012年2月15日から3週間、ジャカルタへ東京消防庁職員5名が赴きフォローアップ研修を行いました。今回派遣した5名は、ハイパーレスキュー隊に所属し、レスキューの最前線で働く職員でした。通常の火災や救助活動はもちろん、高度な知識・技術を要する現場でも活躍している彼らは、今回の派遣にも強い意気込みで臨みました。

このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

Adobe Flash Player を取得

東京の救出救助方法を実演

 ジャカルタでの研修は、ジャカルタ市郊外にある市消防局のトレーニングセンターで行われました。インドネシア国内には同局以外トレーニングセンターがないため、様々な地域の消防局からも受入れを行っています。本研修にもジャカルタの他、スマトラ島とロンボク島など34名もの消防隊員が参加しました。
 現地到着時には、事前に知らされていた研修カリキュラムと実際に予定されているものが異なるなど戸惑いもありましたが、トレーニングセンターの指導者達と綿密な打ち合わせを重ねることで無事に研修を開始することができました。
 お国柄か、文化の違いか。日々の訓練は、朝5時から上半身裸でランニング、体力錬成から始まり、ロープやはしごを使った救助法、高所や火災からの救助法など基本から応用まで、様々な救助技術を早朝から夕方まで訓練します。我々も「郷に入っては郷に従え」とばかりに早朝から共に走ることを決め、宿泊先のジャカルタ市内のホテルを離れて研修生と同じトレーニングセンターの寮に泊まり込むことにしました。言葉はわからなくても、一緒に歌を唄いながら走り、汗をかくことですぐに打ち解けることができました。

このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

Adobe Flash Player を取得

資器材の展示。東京の救助法について、様々な質問が行き交った。

 講義は、初めにジャカルタ市の指導者がジャカルタ式の救助技術を研修生に教え、次に東京消防庁がジャカルタの資器材を活用して東京式を実演、指導するといった具合に進められました。資器材が普段使っているものと違ったため苦労もありましたが、ジャカルタ市の指導者も研修生も、東京の救助技術に大変興味を示し、「東日本大震災の救助活動で最も役に立った救助法は?」「救命率を上げるためには何が一番大切か?」など、たくさんの質問を受けました。また、我々にとってもジャカルタの救助技術を見る機会を得てとても参考になりました。
 今回我々が伝えた「東京の救助技術」は、今後より高度な救助専門研修の中で国内に普及していくとのことです。
 今回の派遣を通じて、ジャカルタ市職員の熱心な訓練風景や訓練終了後の講師への積極的な質疑を見ていると、救助方法、資器材等は違っても、救助隊員の内に秘める「どんな状況でも人を助ける!!」という熱い救助魂は同じであることを知りました。
" There is no boundary in the FIRE&RESCUE (消防救助に国境無し)"
 今後、ジャカルタ市消防局との友好関係がますます深まることを期待します。