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アジア通信
第20号 2012年5月30日発行
感染症対策を支えるアジア各都市の強固なネットワーク
〜アジア感染症対策プロジェクト会議をジャカルタで開催しました〜
 「アジア感染症対策プロジェクト」は、アジアで感染症が発生した際、大都市が速やかに対応するために、国境を越えた専門家(医師・研究者)によるネットワークの構築と各都市行政・研究・医療機関の連絡体制の整備を行っています。現在、ANMC21全会員都市が参加しています。
 今回は、2011年ジャカルタで開催されたプロジェクト会議と、その後東京で開催した共同調査研究会議の模様をお伝えします。

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プロジェクト会議の模様

 2011年11月、第7回アジア感染症対策プロジェクト会議が開催されました。
 ジャカルタでは初の開催となったこともあり、ジャカルタ市国際局や健康局、さらに幹事都市東京との間で検討と調整が重ねられ、様々な機関が一丸となって会議に臨みました。会議開催準備を始めた当初から、ジャカルタの担当者が「歌や踊りのある楽しい会議にする」と宣言していましたが、宣言通り、歌あり踊りありの大変華やかなレセプションが行われるなど都市間の友好が一層深まりました。

 ジャカルタ特別市ファウジ・ボウ知事の開会挨拶のもと、会議はスタートしました。
 ハノイ、ソウル、台北、東京からは新型インフルエンザについて、また、ジャカルタからは鳥インフルエンザについての発表がありました。今後も各都市間で情報を共有し、引き続き協力して検討を進めていくことが合意されました。
 今回3年ぶりの参加となったクアラルンプールからは、デング熱のサーベイランス体制についての発表がありました。東京は医療整備が充実している一方、デング熱やマラリア等の熱帯感染症の診療経験は少ないため、大変有意義な情報交換となりました。

 今回の会議で注目を集めた発表の一つが、東京都の発表者、福祉保健局感染症対策課戸来医師による東日本大震災被災地での感染症対策の報告でした。この発表は、ジャカルタからの依頼により実現したものでした。東日本大震災で被災した宮城県の避難所において実際に行われたインフルエンザの集団感染予防、食中毒予防の取組についての報告には、会議傍聴者から大きな反響がありました。

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集合写真(共同調査研究会議)

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迅速診断キットの視察

 2012年2月、共同調査研究会議が東京で開催されました。今回の会議では、新型インフルエンザのサーベイランス体制についての協議が行われました。これは、新型インフルエンザの発生を迅速に探知し、都市間で情報を共有する仕組みの構築を目指すものです。

 会議では、各都市における新型インフルエンザサーベイランス体制についての報告に続き、2012年4月から2013年3月までの取組内容についての協議が行われました。その結果、モデル都市を選定し、迅速診断キットを用いたサーベイランスと都市間の情報共有を中心に共同調査研究を進めていくことで合意しました。

 また、東京都医学総合研究所において、迅速診断キットによるインフルエンザ迅速検査の実演も行われました。ほとんどのANMC21参加都市では、迅速診断キットは普及しておらず、参加者は非常に興味深い様子で熱心に説明に聞き入っていました。

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ベトナムの歌を披露するハノイ市保健局ホーン次長

 今回、会議初日に行われたレセプションでは、日本文化を紹介するため、和オペラを披露しました。「荒城の月※」など日本の歌の演奏に続き、参加者全員で「花※」を合唱。さらに、2012年のプロジェクト会議開催予定であるハノイ市の保健局代表ホーン次長がベトナムの歌を舞台上で一緒に歌う場面もあり、言葉の壁を越えた楽しい交流の場となりました。

 都市間の強固なネットワークを構築しながら、これからも感染症対策の取組は続きます。

※哀切を帯びたメロディーが特徴の「荒城の月」、東京都の東部を流れる隅田川の春の情景を詠う「花」は、日本の有名な歌曲です。