2011年6月13日(水)、アジア危機管理会議がバンコクで開催されました。
アジア9都市の危機管理担当者が集まり、活発なディスカッションを行った本会議に続き、タイの伝統的な舞踊と共に華やかな宴となったウェルカムレセプション。参加者間での情報交換や交流が活発に行われた充実した1日となりました。
実は、今回インタビューを行ったのはこの日のスケジュールを全て終えた夜9時過ぎ。
インタビューの待ち合わせの場所となったサイアムシティホテルのビジネスセンターに、ラモン氏はいつもと変わらない穏やかな笑顔で現れました。
インタビューをお受け頂いて、ありがとうございます。お疲れではないですか?
いいえ、疲れていません。夜更かしには慣れています。いつも寝るのは早くて1時、起きるのは朝6時です。
随分ハードですね!
長官のコンサルタントになってから、ハードスケジュールなんです。
「できないことは何一つない」
現在は長官のコンサルタントとして、何にでも真っ向から取組む日々
マニラの危機管理コンサルタントとして、日々忙しい毎日を送られているかと思います。最近では、どのようなことに携わっていらっしゃいますか?
現在は災害リスク軽減プログラムと洪水緩和プログラムに携わっており、マニラ首都圏開発庁長官のアドバイザーをしています。
また、マニラ首都圏の災害業務センターの拡充も監督しています。昨年はソウルの漢江洪水管理センターの視察を行い、その後マニラ首都圏に類似の機能を持つ簡単な施設を作りました。
一番大変だったのはそれを2週間で、そして非常に少ない費用で作ったことです。
2週間というのは随分短期間ですね。
立ち上げにどの位時間がかかるか、と長官が私に尋ねました。でも長官が早期立ち上げを望んでいるのに気づいていたので、その施設にどんな具体的機能を持たせたいのかと長官に聞いてみたんです。
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どうなったのですか?
長官は「君が必要と思うものならなんでも良いが、来週までにそれが必要だ!」と言ったんです。それで2週間で実行したというわけです。
不可能な話のように思いますが・・・
できないことは何一つありませんよ。(笑)
最近では、バンコクとジャカルタの洪水リスク軽減・緩和に関する会議に行ってきました。マニラ首都圏で我々が行っている洪水リスク軽減活動を紹介する機会があり、また他の参加者の話からも学ぶことができました。今月中に、マニラ首都圏で採用できる方策をいくつか、マニラ首都圏評議会でご紹介できると思います。
「ANMC21の活動は、どれも印象的」
ANMC21と私
ラモンさんにお会いするのは今回で3度目ですね。1回目は2011年ソウルでの危機管理会議。2回目は同じ年に東京で開催された総合防災訓練の視察にいらっしゃった時。この他にも、ANMC21の事業に多く参加されていますね。また、マニラは来年のアジア危機管理会議の開催都市でもあります。ANMC21事業について、どのような思いをお持ちですか?
ANMC21は各都市の活動を紹介したり学んだりする素晴らしい場だと思います。参加したANMC21の活動はどれも印象的なものばかりです。会員都市から多くを学び、また主催都市のもてなしにはいつも感謝しています。新しい人と出会い、知識をシェアすることに前向きな友達を作るのは、いつでも嬉しいことです。
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今は、マニラが来年主催する次のアジア危機管理会議が楽しみなんですよ。会議の準備には広範囲にわたって関与したい、また本会議をユニークで、ANMC21からの参加者の印象に残るものとするために努力したいと思います。
去年東京にいらした時は、東京都総合防災訓練の視察や、東日本大震災発災時の東京都消防庁の取組についてのワークショップなどに参加して頂きましたね。
昨年の東京都総合防災訓練の視察に関するプログラムは、素晴らしいと思いました。我々もこれに匹敵するものを実施できればと思います。災害時にどう生き残るか、携帯ゲーム機を使って質問に答えるというプログラムが印象に残っています。
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東京臨海広域防災公園での体験学習ツアーですね。大地震発生後の72時間をどう生き残るか、というのをゲームに答えながら体験してもらいました。
あれは面白かったですね!
日本に行くたびに、危機管理についての情報を様々な人たちに浸透させるために努力していることが分かります。日本では、防災への関心が高い人が多いのも分かりました。
日本は、このようなプログラムのために使える資源があります。でもほかの国では多くの費用はかけられません。ですから、同じ効果を持つ似た方法を考える必要がありますね。
「できる限り多く、なんでも読む」
OFFの過ごし方
これまで会議等で積極的に意見交換をされているラモンさんの姿を見ていても、プライベートな面はほとんど知らない方が多いかと思います。この機会に、ラモンさんの趣味や休日の過ごし方について教えてください!
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趣味はドキュメンタリー映画や「ディスカバリー・チャンネル」「ナショナル・ジオグラフィック」のような番組を見ることです。それからできる限りたくさん、興味あるものならなんでも読むことです。特に災害リスク軽減や気候変動、クリーンテクノロジーに関するもの、さらに最近では犬に関する本を読んでいます。マニラはK-9ユニットという探索救助犬チームを作ろうとしているからです。特にお気に入りというのはありませんが、「ポピュラー・サイエンス」「ポピュラー・メカニクス」「ディスカバリー・マガジン」といった雑誌は読むようにしています。
多くが仕事に直結するような内容ですね。
時には、科学的な方策を取らなければならないこともありますからね。そのときの解決方法は、より確かで、より洗練されたものでなければなりません。
バランスも必要です。資源が常に手元にあるわけではありませんからね。時には資源がそのうち手に入りますが、それと同時に最良の解決策を見つけなければなりません。技術や方策の選択を誤れば、より多くのコストがかかります。
ベストな選択をするために、たくさんのものを読む、ということですね。
そうです。私たちは効果的な解決策を選択しなければならないのです。
でも、趣味というのは何か楽しめるものであるべきですよね。例えば、犬。実は家で犬を何匹か飼っています。犬は好きで、一緒にいても楽しいですよ。犬について知ることは興味深いですし、K-9ユニットという仕事にも役立ちます。そして同時に、リラックスして仕事を忘れることもできるのです。
ご自宅で過ごされる時以外では、どんな風に休日を過ごされているんですか?
友人たちと湾岸でゆったりと食事をするのが好きです。おいしい地元料理を出す湾岸のレストランに友達を連れて行くことが多いです。マニラ首都圏からは外れますが、首都圏の東側のヒルサイドにある夜景のきれいなレストランに行くこともあります。
その次にぶらぶらするのが好きな場所は、ショッピングモールのホームセンター。たくさんの人が日常生活で使う工具や面白い道具を眺め、それが年々変わっていく様を見ているだけでリラックスできます。
「疲れてなんかいられない、ひたすら楽しめ」
読者へのメッセージ
最後になりますが、アジア通信の読者には、現在アジアの各都市で様々な課題に直面している行政職員、また、これからまさにアジア都市で活躍が期待される東京で学ぶアジアの留学生が多く含まれます。読者に向けて、メッセージをお願いします。
アジアの主要都市では、開発の余地はたくさんあるのですが、経済的な問題を抱えていることが多いかと思います。
特に危機管理についてひとつ私が言えることは、疲れてなんかいられない、ということです。これはとても大事です。そしてひたすら楽しめ、ということ。
基本的に、紙を見るときには白い部分を見るほうが良いのです。つまり、白い部分は白い。しかし、白い紙の中心にある黒い点に焦点を合わせれば、黒い部分だけを見ていることになります。このように、私たちは悲観的になったり落胆したりしがちなのです。
でもひたすら楽しむこと。生活を楽しむのです。そしてストレスをためないこと。解決策を見つける必要があるなら、解決策を見つけることを楽しんでほしいと思います。 |