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アジア通信
第24号 2013年1月30日発行
アジアの魅力ある観光資源を将来にわたって活用していくために
〜「ワン・アジア・パス」の運用開始に合意〜

2012年10月10日から2日間にわたり「第11回アジア観光促進協議会」がハノイで開催されました。今回は本会議の担当者から、ハノイでの会議に向けた準備、そして、当日の模様をレポートします。

−徹夜の調整と会議での白熱した議論

「アジア観光促進協議会」は、アジア大都市ネットワーク21(ANMC21)の共同事業の一つで、ウェルカム・アジアキャンペーンの推進について協議するため開催しています。

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議事に備える議長団とハノイ市ズン次長(右端)

今回の協議会では、アジア域内の周遊型旅行商品「ワン・アジア・パス」の運用が議題の一つでした。航空券についてはアライアンス等の課題が残るため、まずは宿泊や市内観光といったランドパッケージの創設をパイロット事業として進めていくことを一昨年合意しました。しかし、具体的な運用に関し各都市が抱える課題は異なっています。また、LCC(Low Cost Carrier、格安航空会社)参入をはじめ観光業界を取り巻く動きは、目まぐるしい早さで進んでいます。そのような中、年1回各都市が一堂に会する場で、議論をしながら合意を得なければなりません。そこで、事務局では事前に各都市の意向の把握に努め、ハノイに到着後も会議直前まで各都市の意向調整を行ないました。その甲斐もあり、都市代表者会議では、会員都市による活発な議論を経て、パスの具体的な運用開始について合意することができました。

このように会議を円滑に進めるためには、万全な会場準備が不可欠です。今回は日・越・英3言語の同時通訳リレーによる会議でした。会議前日の夜、同時通訳機材のリハーサルを行なったところ、機材がリレー対応していないことが判明。ハノイ市担当者と事務局で深夜に及ぶ機材手配の調整を行い、なんとか翌日の会議に間に合わせることができました。

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観光展開会のテープカット
ハノイ市副市長(中央)が出席

2日目の拡大会議では、ハノイの民間観光事業者出席のもと、「持続可能な観光」について会員都市の事例紹介と議論を行い、各都市の取組を学びあう良い機会となりました。また、ハノイ市内の観光事業者の熱心な質疑も刺激的なものでした。特にハノイ市のズン次長の回答は長年にわたる観光事業への経験とノウハウを余すことなく披瀝したもので、東京都としても多くのことを学ぶことができました。

―会員都市の魅力をPR

会議開催中、会場となったホテルの前庭では加盟都市がそれぞれの観光資源をPRする観光展も同時開催しました。

ベトナムの経済発展に伴って成長する海外旅行者を取り込むため、各都市がそれぞれに趣向を凝らした展示を行う中、事務局を努める東京都に対してはハノイ市から2ブースの提供をいただきました。もともとベトナムの方はお手伝いさんのことを日本のTVドラマの影響で「おしん(※)さん」と呼ぶなど、とっても親日的。伝統と現代が共存する東京の魅力をより深くお伝えするため、広い展示スペースを存分に活かし、体験型にこだわった展示を行いました。中でも大人気は日本のお菓子が当たる輪投げコーナー!市民の皆様はもちろん、ハノイ市人民委員会の副市長や、各都市の代表団にもお楽しみいただきました。最近はベトナムのスーパーでも輪投げイベントが開催されるようで、担当は現地の方からコツを教えてもらう一幕も。また、華やかな桜をあしらった展示ブース前では、議長を務めた産業労働局次長が現地の報道陣に囲まれる一幕もありました。

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報道陣に囲まれる東京都産業労働局次長

また、現地で日本への送客を行っている日系民間旅行事業者様にもPRをしていただきました。しかし、ブースの提供がわかったのは開催2週間前。突然のお願いで準備期間もほとんど取れない中、ポスターやパンフレットを持参していただき、東京への誘客にご尽力いただきました。

―東京の職員として、世界標準で仕事を進める

現在はヒト、モノ、カネが国境を超え、地球規模で動いており、第二の大航海時代といわれています。一方、日本では海外留学や勤務を避けようとする若者が増え、若者の内向き志向がいわれる昨今、こうした会議の開催や共同事業の実施を通して、東京の世界でのポジションを実感できる機会は貴重なものといえます。
世界的な大都市、東京は、アジアでもリーダーとしての存在感を持ち続けなければなりません。東京の職員として、多様な考え方や行動スタイルをもった各都市とともに、世界の共通語であり、ANMC21の公用語である英語を使って、アジア観光促進協議会の準備を進めていきます。

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現地でも大人気!輪投げ

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会議での集合写真 加盟都市が集合

会議の準備や共同事業を進めるため、毎日海外都市と電話やメールで連絡をとり、事業調整に明け暮れています。会議の前後では、少ない時間との競争となり、エレベーターピッチといわれる、30秒での関係者への事業説明を行います。また、厳しい調整のために、英語で啖呵を切るようなこともしばしば起こります。リアルで、熱い協力や連帯の中から、世界標準の仕事の進め方やコミュニケーションの手法を肌で感じとっていきます。
世界的な大都市、東京の職員として、誇りとアイデンティティを持ち、広い視野に立った教養、専門性を手がかりに、言語、文化、価値を乗り越えて、海外との関係を構築するためのコミュニケーション力、新しい価値を創造する力と世界に向けたリーダーシップこそ、こうした事業を通じて培われるグローバルな人材力といえるでしょう。地道な努力の積み重ねがグローバルに流動し、変化し続ける世界で東京が世界トップクラスの都市であり続ける。そして、それはアジア全体が繁栄を続けるための原動力となるものと考えています。

近年ますます経済成長が著しいウェルカム・アジアキャンペーンの加盟各都市。共同での欧米豪からの旅行者誘致はもちろん、アジア域内での相互交流の促進も目指して、活動を続けていきます。

※ おしん:日本で30年位前(1983年)に放送されたテレビドラマ。主人公の女性「おしん」が、数々の困難に遭いながらも強く逞しく成長する姿を描くこのドラマは、現在でも海外に根強いファンを持っています。