今年4月、ANMC21事務局では、何名かの新しいメンバーを迎えました。その中の1人が3月までシンガポールで仕事をしていた小宮山徹さんです。シンガポール勤務を通じて、アジア地域の明るい未来を感じたという小宮山さん。そんな彼に、シンガポールでの経験やその楽しみ方について聞いてみました。
私とアジアの出会い
私は学生時代にインドネシア語を専攻していたこともあり、海外と関わりのある仕事をしたいと思っていました。
また、シンガポールに赴任する前には、水分野の国際会議の企画・運営に携わった経験があります。その中で日本と世界とのつながり、特にアジア地域との連携の重要性を強く感じたことが、赴任を希望した大きなきっかけです。
想い出に残る仕事 −アジアと日本の交流を盛り上げたい−
私のシンガポールライフ |
2011.4 |
シンガポール到着、すぐにシンガポール料理に夢中になる |
ホーカーセンターをはじめ、シンガポール料理に魅了される。特におすすめなのはペーパーチキン。半年で体重が大きく増え、2年後の自分に危機感を覚える。 |
2012.1 |
チンゲイ・パレードに熱狂 |
チャイニーズニューイヤー後に行われたチンゲイ・パレードに大興奮。2年続けて観客席の最前線でパレードを楽しむことに。 |
2012.2 |
インド交流プログラムを実施 |
現地スタッフにも支えられ、無事に交流プログラムを実施。訪問先で出会った人々の温かさに心を打たれるとともに、本場のカレーの虜に。 |
2012.6 |
ANMC21第11回総会 シンガポールで開催 |
AMNC21シンガポール総会の運営に参加し、会員都市の友人たちと出会う。ANMC21の活動に携わりたいという意欲が強くなる。 |
2012.11 |
インドネシア交流プログラムを実施 |
インドネシアで交流プログラムを実施し、ジャカルタ特別市の友人と再会。学生たちの日本語レベルの高さに刺激を受けるなど、益々インドネシアのファンになる。 |
2013.3 |
シンガポール出発 |
たくさんの大切な思い出とともに、東京へ向けて出発。ありがとうシンガポール! |
シンガポールでは、日本の地方自治体の代表事務所*に東京都の代表として勤務しました。自分にとって初めての海外での勤務は、新しい発見や驚きにあふれた毎日でした。
2年間の任期中は、自治体の国際交流活動や観光客誘致のためのシティーセールス、地域産業の海外展開のコーディネートなどに携わりましたが、その中で最も想い出に残っている業務の一つは、日本の公務員の海外派遣交流プログラムの企画です。
活気あふれるアジアの今を理解し、日本との相互交流をより発展させたいとの想いから、この海外交流プログラムを企画しました。インドのデリー、ムンバイ、チェンナイや、インドネシアのジャカルタを訪問した際には、各地で多くの皆さんのあたたかいご協力をいただきました。そのおかげで、実り多いプログラムを行うことができたことに、心から感謝しています。
行政機関への訪問や工業団地の視察等とともに、特に印象に残っているのは、インドのデリー、インドネシアのジャカルタ等で行った、日本語を学ぶ学生との交流事業です。
交流会では、お互いに自分の国の文化や習慣、行政制度などを日本語で発表しました。難しい教育制度や、FacebookなどのSNSの普及状況などを熱心に説明してくれるグループや、浴衣を着ながら伝統衣装のファッションショーを披露してくれるグループなど、アイディアと発見が満載の楽しいひと時を過ごさせてもらいました。
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インドでの交流プログラム
海外でこんなにも多くの学生が日本のファンになり、日本語を熱心に勉強してくれていることに驚くとともに、日本人の私たちとの交流を楽しみに、プレゼンテーションのために何ヶ月も準備をしてくれたことにとても感動したのを覚えています。彼らの中から、必ずや将来の日本とアジアの架け橋となる人材が現れてくれることを信じています。
* (財)自治体国際化協会 シンガポール事務所(CLAIR Singapore Office)
日本の震災復興へのあたたかい想い
わたしがシンガポールへ赴任する直前に、日本は、3月11日の大震災(東日本大震災)に見舞われました。多くの尊い命が失われ、日本中が落ち込む中、仕事で訪問した各所で日本人である私のためにいただいた応援やお見舞いの言葉は忘れられません。
バンコクで開催された旅行フェアでは、震災によりアジアからの訪日旅行者数が落ち込む中、主催者の厚意で特別な展示スペースを提供いただいたほか、メッセージボードに来場者からのメッセージを募ると、瞬く間に日本へのエールや復興への願いを込めたメッセージ、タイで起きた洪水被害への支援のお礼などで溢れることとなりました。その他に私たちが訪問したマニラやジャカルタなどでも、日本の復興を支援するためのイベントの開催に多くの協力をいただきました。
また、シンガポールでは、現地の日系機関の主催により、有志の学生100名が、"シンガポール東北親善大使"として被災地東北を訪問し、帰国後にその経験を紹介する活動が開催され、若者同士の交流などを通じて元気をいただきました。
こうした国境を越えた絆の温もりを実感できたことは、忘れられない財産であり、今後国際的な仕事に携わっていく上で大きなモチベーションとなりました。
魅力あふれる国シンガポール −年4回のニューイヤー−
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チャイニーズニューイヤーの花火(マリーナベイにて)
私が体験したシンガポールの魅力の全てをお伝えするには、1年間この連載を続けても難しいかもしれません。食事、レジャー、ショッピング、自然、そして何よりフレンドリーな人々に恵まれたシンガポールは、それくらい素晴らしい場所です。
この国を魅力的にしている要素の一つは、その民族の多様性にあると思います。日本人である私がもっとも驚いたことの一つが、年4回のニューイヤーでした。
ご存知の通り、シンガポールは中華系、マレー系、インド系、欧米系、そして我々外国人と世界中から多くの人々が集まり、文化・習慣を共有している国です。そのため、私たち日本人が一般的に考えるニューイヤー(1月1日)の他に、チャイニーズニューイヤー、イスラム暦の新年、そしてインドのディーパ・バリと年に4回の大切なお祝いがあります。
その他、ハリラヤやベサックデー、グッドフライデーなど、それぞれの民族が大切にしている日は国民の祝日となるなど、異なる文化や民族に対する寛容性が独特の文化を育み、シンガポールの醍醐味の一つになっていると感じます。
こうしたシンガポールの多様性を体感でき、私たちもその一部となって楽しめるイベントがあります。毎年チャイニーズニューイヤーの時期行われる、「チンゲイ・パレード(Chingay Parade)」です。
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チンゲイパレードでの日本チーム
チンゲイ・パレードは、1973年に始まった伝統ある祭典で、その起源は19世紀に遡ると言われています。福建語で「仮装と仮面の芸」を意味する「チンゲイ」という言葉が名称の由来と言われるように、この日はシンガポール人のみならず日本を含む世界各国から鮮やかな衣装を身にまとったパフォーマンスグループが大勢訪れます。活気ある音楽に合わせて、3,000人を超える参加者により、それぞれの伝統芸能やダンスをテーマとしたパレードが行われるのです。
ここにくれば、世界中のお祭りが一度に体験できると言っても過言ではありません。チンゲイ・パレードの模様は、世界22か国でテレビ中継されますが、ぜひシンガポールを訪れて、ご自分の目で本場の熱気を確かめてみてください。
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