レポート:東京都知事本局国際共同事業担当(川崎市から派遣) 田村 俊樹
海外旅行も大好き アルゼンチンの氷河を背に
私は大学時代に、英語サークルに所属して英語力を磨くとともに、イベント通訳のボランティアなどを通じて外国人の方との交流を行っていました。川崎市に就職した後も、海外と関わる仕事に興味を持ち続けていましたが、川崎市では入庁以来ずっと保育行政に携わっていたため、行政における国際関係業務を経験する機会はありませんでした。
そんな中、東京都外務部国際共同事業担当(ANMC21)で派遣職員として1年間勤務できるチャンスがあることを知り、挑戦をしてみることにしました。
ANMC21は、アジアの13都市が加盟する都市間ネットワークで、産業や環境など様々な分野における共同事業に取り組んでいます。川崎市では特定の分野にのみ関わる業務だったので、ANMC21の業務は未知の体験の連続でした。
例えば、各国大使館に行って覚えて間もない業務を英語で説明することがあれば、都内中小企業の国際見本市への出展支援のためにベトナム・ハノイへ海外出張することもありました。
※その時の記事はこちら。http://www.asianhumannet.org/newsletter/201311/2.html
今回は、私が一年間を通じて関わったアジア人材育成基金に関する業務について、お伝えしたいと思います。
1 高度研究外部評価委員会の運営
東京都は、アジアの将来を担う人材育成に関する施策に充てるため、「アジア人材育成基金」を設置しています。この基金を活用し、アジアからの優秀な留学生を首都大学東京に受け入れ、アジアの発展や都市問題の解決に資する高度先端的な研究(以下、「高度研究」)を行っています。各研究では、研究が事業目的に則って行われているかを検証するために、「東京都外部評価委員会(以下、評価委員会)」の外部評価を受ける必要があります。私はこの評価委員会の運営を担当し、会場設営や研究発表者への対応を行いました。
担当して間もない頃は、丁寧に準備すべきところと効率化を図るべきところの区別が付かず、また、気を配らなければいけない部分をおろそかにすることがしばしばありました。それを見兼ねた上司から、「日本を代表する頭脳とも言える先生達から、貴重な時間を頂いて会議を行うのだから、準備に最大限の注意を払わなければいけない」と注意されてしまったほどです。
評価委員会は、研究の今後を左右する重要な場であり、委員会の評価次第では研究費の削減はおろか、研究の中止を検討せざるを得ない場合もあります。
そのため、発表者は日頃の研究活動で多忙の中にあっても、委員の方々に対して十分な説明ができるように、どんなに時間がかかっても丁寧に準備してきます。事務局は、資料の準備から発表時間の管理まで綿密に行い、限られた時間の中で適切に評価が行われるようにしなければなりません。
また、発表者にとって、同じ分野の第一人者である各委員は、その名前を聞くだけで緊張するほどの先生方であり、その目の前でプレゼン及び質疑応答を行うことは、非常に緊張することです。
もちろん、全体進行を担う我々事務局も緊張しますが、発表者の緊張は比べものにならず、本番前は非常にナーバスな状態になります。発表者の応対を担当する者としては、発表者が発表に集中できる環境を作るため、進行管理に問題が起きないよう最大限の注意を払う必要があります。
改めて私は、自分の業務の責任が重大であることに気づき、心を入れ替えて出来る限りの準備をして会議本番を迎えました。
本番では、発表の進行時間が予定より早く進んでしまい、評価時間の終了間際になっても次の発表者が来ない、といったハプニングがありました。しかし、こうした事態も想定して、発表者には少なくとも30分以上前には来てもらい、当日の進行次第では到着して早々にプレゼンを行う場合もある旨を事前に通知していたことが功を奏して、会議は最後まで無事に進行しました。終了後、上司からも「しっかり準備ができていた」と言ってもらい、大きな達成感を感じることができました。
評価委員会は、私にとって一年間で初めてのイベントであり、ここで気を引き締め、以後丁寧な業務を心がけたことで、後々のイベントについてもしっかり取り組むことができました。
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