東京消防庁では、職員の能力向上プログラムの一環として、毎年アジア大都市ネットワーク21(ANMC21)加盟都市の消防職員に対し「救助技術研修」を実施しています。この研修は、アジア各都市における救助技術推進指導者を養成し、各都市の実態に即した消防救助技術の向上を図ることを目的としています。
今回は、ハノイで実施した研修の模様をレポートします。
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ロープワーク訓練
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救助資器材使用要領説明
この研修は2本立てになっており、1回目を東京、2回目をハノイで行いました。
1回目は2013年10月、ハノイ市消防局の研修生6名が、東京消防庁の消防救助技術を習得するため、東京にやってきました。東京の指導員は、第三消防方面本部消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)の隊長と隊員です。東京消防庁が実際に取り入れている実戦的な消防救助技術を2週間で習得してもらい、その後、研修生はハノイに戻り、地元ハノイ市消防局で技術に磨きをかけました。
そして、2014年2月17日から3週間、今度は東京消防庁の隊員がハノイへ。10月に東京消防庁で学び、習得した消防救助技術への理解をさらに深めるための研修を実施しました。
東京消防庁の消防隊を指導している指揮隊長のほか、東京で指導にあたったハイパーレスキューの隊長と隊員の合計3名がハノイに赴きました。
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ロープ登はん訓練
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ロープブリッジ渡過訓練
研修場所は、ハノイ市内にあるハノイ市消防局訓練場。季節風の影響ということですが、午前中はほとんど雨が降るという環境の下、研修は実施されました。
訓練場の訓練施設や装備・資器材などの訓練環境は東京とは異なりますし、安全を確保するために改善を要する箇所もありました。しかし、実災害が起こった際の派遣と同じで「あるもので可能な限り有効な手段をとる」ことを実践し、柔軟に計画を変更し対応しました。
研修では、朝から夕方まで訓練を実施し、1日の訓練が終了すると、東京とハノイの指導者が集まり、その日の訓練の検討と翌日の訓練内容の確認及び意見交換を毎日繰り返しました。
時には、予定時間を超えて話し合い、ベトナムの建物や都市構造を踏まえた訓練計画の綿密な協議と調整を行いました。
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高所からの救出訓練
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低所からの救出訓練
研修生は、ハノイ市消防局の13消防署から選りすぐられた48名の職員でした。言語の違いにより意思疎通が思うように図れない場面もありましたが、そのような時も、実際に訓練に使用する器材等を見てもらい、質疑回答後に訓練を進めました。初めて触れる救助技術に対しての研修生の理解は早く、技術を習得しようという意気込みが随所に感じられました。
3週間という短い期間のため、基本的な救助活動技術や安全管理能力の習熟を主とした訓練となりましたが、訓練が進むにつれて、研修生たちにも開始時間までに訓練を始められるよう準備することや、自分の行動を大きな声に出すこと(確認呼称)が定着してきました。様々な想定訓練を通じて、最後まであきらめずに要救助者を救出するという東京レスキューの気持ちを理解してもらえたのではと感じました。
最終日の総合訓練では、研修生が特に真剣に取り組む士気旺盛な訓練となり、日々の訓練成果を遺憾なく発揮することができました。また、東京消防庁の職員も、研修期間中にハノイ市の複数の消防署から熱烈な歓迎を受け、ベトナムの方たちの人柄、歴史、生活習慣に触れることができたのは貴重な体験となりました。
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研修生集合写真
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ハノイ市消防局職員と集合写真
ハノイ市消防局の救助活動技術は、更に発展させていく部分が多い状況です。しかしながら、ハノイの訓練指導員が率先して訓練し、知識・技術の習得に取り組んでおり、この研修を契機としてハノイ市消防局の救助体制がますます充実していくものと思われます。
今後、研修を修了した研修生が、指導者として、ハノイの消防に有効な活動技術を検証し、他の職員に技術指導することで、ハノイ市消防局の救助活動技術が向上することを願います。
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