1. はじめに
(1) 名前
Ms.Narayanan Nair Radhika
(2) 出身地 (国/都市)
インド/ ケララ
(3) 出身地の紹介
私は、「神の国」として知られるケララの小さな町の出身です。東京と比較できるのは、土地の面積くらいしかありません。東京は忙しく人口が多い都市で、すばらしいインフラや交通機関が整っているのに対し、ケララは独自の美しい自然や文化を誇る場所です。また、伝統や様々な形式の芸術で有名なため、日本で神社仏閣を訪ねると、日本人とインド人の信仰、信心の仕方に、通じるものを感じます。ヒンズー教と仏教は、完全に何らかの関連性があるのではないかと考えています。
私の故郷では、南西モンスーンの季節の涼しい雨の朝がいつも大好きでした。でも日本にいてそれが恋しくなると、今まで体験したことのない雪が降って楽しませてくれたことがありました。日本では、私の周囲の変化はめまぐるしく、新世界に住んでいるような感覚を覚えました。まるで地上の楽園のようでした。日本での暮らしは、故郷とは全く違います。日本では全てがきちんと整っているので、清潔で、規律正しく安全な暮らしを楽しむことができます。
2. 研究テーマ
関連 URL/ http://www.comp.tmu.ac.jp/theochem/home/home.html
研究は、化学コースの理論・計算化学研究室で行っています。化学は悪夢だと感じる学生も多くいるでしょう。でも化学は我々の日常生活に密接に関連しているので、他のどの教科より楽しむことができるのではないかと私は考えています。化学研究室では、様々な実験を行う学生が大半を占めますが、我々のような理論化学者は、コンピュータを使って化学分野の問題を解くことが、興味の対象となっています。
現在、キラルサレン錯体の結合と安定性にいての研究を行っています。キラルサレン錯体は、化学分野でいろいろな応用が可能です。この応用を研究するには、キラルサレン錯体の安定性や結合についての基礎的な理由を理解するのが、典型的な手法です。計算技術によって、このような性質を理解することができます。様々な金属錯体の結合分析については、さらなる研究が必要です。
3. 動機 〜 東京で学ぶことを決めた理由 〜
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日本のスーパーコンピュータ、特に京コンピュータの開発により、計算化学分野はとても大きな変革を遂げました。日本の計算技術は非常に進んでいるので、自分の化学研究を行うのに日本は最適の場所だと確信していました。そのためこの研究室に入ることができ、とても光栄に感じています。またこうすることにより、化学分野のすばらしい教授陣との出会いが生まれ、幸運に恵まれれば共同研究もできるかもしれないと思っていました。
博士課程を始めたばかりの頃は、個人中心で研究を行う研究室のやり方に、少し戸惑いました。しかし次第に、私個人と私の研究をうまく合わせられるようになってきました。ここでの研究員の取り組み方は、私にやる気を与えてくれます。研究員同士、うまくまとまっていて、研究指向の高い方々ばかりです。学ばせていただけることも多く、まだまだやらなくてはいけないことがたくさんあるようです。
4. アジアと私 〜 アジアの中での私の役割 〜
確かにインドには、理論・計算化学の優れた科学者が存在します。ただし研究のほとんどが物理・化学の基礎理論に関するもので、応用指向のものはあまりありません。首都大学東京で研究したことにより、物理学における原子計算から生物学における薬物設計に至るまで、計算化学の幅広い応用について理解を深めることができました。人間の生命に密接に関わる応用レベルに持って行けた時に初めて、一般社会に計算化学の重要性が理解されるのでしょう。
ここで培った知識や経験を基に、母国で応用指向の理論研究を行いたいと考えています。ここで得た知識や考えを、インドの学生と分かち合いたいのです。そうすることにより、次世代の人たちがこの分野の持つ幅広い可能性を探求するきっかけとなり、我々の生活の改善につながって欲しいと願っています。
5. 「アジア交流」を通じて伝えたいこと
決して都会的とは言えないインドの町から東京に来た私にとって、初めは驚きの連続でした。東京の交通機関や開発水準には、目を見張るものがありました。東京について語り出したら、一日あっても足りないくらいですが、日本で大きな影響を受けたいくつかの点を選んで述べたいと思います。第一に、日本人は自律して生活しているという点で、これは私の故郷ではあまり見ることができません。日本人が他人を頼らずに物事を行うやり方に、感銘を受けました。人間の潜在性についての、新たな理解にもつながりました。次に特筆すべき点は、日本人は自律しているものの、いつも喜んで他人に手をさしのべるということです。
日本についてもう一つ大切だと思うのは、私のような外国人にも適応しやすいという点です。日本ではすべてが整然としているので、ここでの生活に馴染むのに苦労する外国人はいないでしょう。日本に来るまでは、人口密度の高いので、公害もひどいのではないかと思っていました。しかし、それは私の間違いでした。清潔で新鮮な空気や環境から、毎日元気をもらっています。
インドと日本で非常に対照的なものとしては、食習慣の違いが挙げられます。日本人が生魚(寿司)を食べているのを見て、私は戸惑いを覚えました。でも、今では日本人の食べ方を気に入っています。インドでは肉や魚を生のまま食べることはなく、香辛料を使い、長時間煮たり焼いたりした辛い料理を好んで食べます。このような食習慣の違いからも、いかに国民性が違うか、また人によって興味がいかに異なるかということを考えさせられました
日本では、苦労したこともいくつかありました。日本語が下手だったので(しっかり日本語の授業を受けなかったため)、困難に直面することもありましたが、グーグルの翻訳機能やスマートフォンに、いつも助けてもらいました。
個人的には、日本はとても安全で住むのに快適な場所だと思っています。アジア各地からきた留学生に研究の機会を与えて下さった東京都のご尽力を、心からありがたく思っています。また私の人生において、最もすばらしく忘れられない日々を与えて下さった日本に、感謝しています。
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