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アジア通信
第34号 2014年9月24日発行
首都大学東京で学ぶ留学生インタビュー2014(後編)
―東京で学び世界的な問題の解決を目指す―

1. はじめに
(1) 名前
 チョディカヴィキヤダ ピーラメッド

(2) 出身地 (国/都市)
 タイ/バンコク

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伊豆大島にて

(3) 出身地の紹介
 私が生まれ育ったのは、タイの首都、バンコクです。タイの物価はとても安いうえに、魅力的な場所がたくさんあり、料理の種類も豊富なことから、世界で有数の観光地となっています。私はタイは環境の違いという観点から、北部、中部、南部の3つの地域に分けられると思います。タイ北部は、山河の町で、良い気候に恵まれ気温も他の都市に比べて低めです。タイ中部は、経済、産業、多様な文化などすべての中心となっています。海に囲まれたタイ南部にはたくさんのきれいなビーチがあり、観光客にも人気のスポットです。

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タイからの留学生と夕食会

 東京とバンコクの違いとしてまず思い浮かぶのが、食事です。タイ料理は香辛料を使っていてとても辛いのに対し、日本の食事はラーメンやうどんのようにとてもマイルドに感じられます。日本で暮らしていると、タイの食べ物が恋しくなることが時々あります。またご存知のように、東京は世界で最も生活費の高い都市として何年にもわたりランク付けされており、タイと比較すると、ここで生活するには非常にお金がかかります。例えばタイでは一食あたり、たったの200円〜300円で食事を楽しむことができますが、東京では500円から1,000円程度はかかるでしょう。

 タイと日本は、産業インフラ、文化交流、高等教育など様々な面で協力関係にあります。私が東京に来ることができたのは、東京都が機会を与えてくれたからであり、そのお蔭で、人生で最高の時間を過ごしています。

2. 研究テーマ
「衛星通信のKaバンドおよび高周波帯域に関する降雨減衰対策技術」
関連 URL/ http://www.comp.sd.tmu.ac.jp/rsl/index-e.html

3. 動機  〜 東京で学ぶことを決めた理由 〜

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日光への旅行

 何年も前の夏に研修で来日したことがあり、すばらしい時を過ごしました。一ヶ月間、京都に滞在し、日本の文化を学んだり、日本人の友達をたくさん作ったり、いろいろな人に出会ったり、京都、大阪、名古屋、神戸、東京など様々な場所に旅行したりと、たくさんの良い思い出を作ることができました。日本滞在中には、とても満たされて楽しい時間を過ごすことができました。それから時が流れ、学校を卒業し、タイの衛星会社に(エンジニアとして)就職しました。私にとっては刺激的な仕事で、電気通信工学の修士課程で研究を続けました。二年間で修士課程を修了し、この分野でさらにハイレベルなものを研究したかったのですが、タイには充分な技術や知識が蓄積されておらず、ヨーロッパか日本の奨学金を探しました。ある日私のアドバイザーが、首都大学東京が博士課程の奨学金制度を開設していることを教えてくれました。そしてついに、来日することができたのです。

 実際に日本に来るまでは、日本人は勤勉、つまり仕事熱心な国民だと聞いていました。確かにこれは良いことのよう思えますが、働きすぎは健康にも悪く、ストレスなども感じるようになるでしょう。ですから私にとって大切なのは、バランスを取ることです。一方、来日するまでは、あまり過度の期待をせず、今までとは異なるであろう生活への準備を行い最善を尽くすようにしました。日本での生活は順調に進んでおり、日々の仕事は滞りなく進行しています。いつか旅行をしたりスポーツしたりして、もっと充実した生活にしたいと思っています。

4. アジアと私  〜 アジアの中での私の役割 〜

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指導教授の福地一先生と

 まず、研究テーマについて簡単に説明したいと思います。私は、衛星通信システムおよび電波の伝搬に関する研究を行っています。未来の技術を網羅できるような、高効率の通信システムの開発に取り組んでいます。衛星通信システムにとって降雨減衰は大きな問題であるにも関わらず、雨の降り方は特に場所によって異なります。それぞれの場所に適した衛星通信システムの降雨減衰対策システムを構築し、利用者の需要拡大と今後の品質向上にむけて支援することが私の役割です。研究の対象は日本やアジアだけではありません。この技術開発は、衛星通信が抱える大きな問題の解決につながるのです。世界的な問題を解決するには徹底的な調査が必要ですが、首都大学東京、そして私のアドバイザー(福地一教授)の協力により、このモデルの構築に必要なデータを全国から集めることができます。実際に、日本のデータは幅広くて役に立つものばかりです。一方、アジアのほとんどの国のデータはあまり広範囲を網羅しているわけでなく、教育や企業の特定分野のみを扱うものがほとんどですし、国の状況を改善するために使われているわけではありません。今後、タイも加盟国である東南アジア諸国連合(ASEAN)の10か国が、ASEAN経済共同体を結成する予定ですので、その時にはさらにしっかりとした協力体制を築き、各国のデータなど役立つものすべてを広く共有し前進できることを期待しています。

5.「アジア通信」読者へのメッセージ

 高等教育機関で学びたいと思う人にとって、東京は最高の都市といえるでしょう。東京には優れた学習環境が整っており、交通機関や通信網などの高度な技術も備わっているので、快適に生活することができます。また治安の良い都市の世界ランクでも上位に付けており、独自の文化を誇り、規律正しい国民性も有名です。このようなすべての要素により、東京は世界を代表する都市となっており、あらゆることが常に進歩しています。ただ、外国人は日本語の壁にぶつかることがあるでしょう。英語が堪能な日本人はあまりいませんが、誰もが喜んで手をさしのべてくれます。近頃では多くの人が集まる場所、鉄道の駅やレストランは、たいてい英語に翻訳された情報を提供しているので、暮らしやすくなっています。

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チューターと一緒に

 最後に申し上げたいのは、「どこで知識を得たかではなく、得た知識を正しく使って自分自身を向上させ、人の役に立ち、よりよい国作りができるかどうかが重要である」ということです。そしてそれぞれの人生を思いっきり楽しみましょう。

私にこのような機会を与えて下さった、首都大学東京、アドバイザー(福井一教授)、そして日本という国に、心より感謝しています。