オウ イチジョ(王 一茹)さん
Ms.Wong Yat Yu, Mena
出身:香港(中国)
香港は中国の特別行政区です。かつてはイギリスの植民地でしたが、1997年に中国に返還されました。特殊な歴史的背景を持つ香港は、東洋と西洋の伝統と文化の両方を有し、植民地時代の巨大建造物と中国式寺院の両方があります。香港島の頂上から見る夜景が美しいことでも有名です。
研究テーマ:
現地調査をしながら、日本の新華僑コミュニティーのあり方や生活戦略、アイデンティティーについて考察しています。事例をもとに、日本においてグローバル化時代と共に増えている外国人居住者がどのように現地住民と共生しているかを分析することで、日本社会の多様性及び在日華僑社会に関する研究の発展に貢献できると考えています。
このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

ヴィエンナム ドアンパーチャンさん
Mr.Douangphachanh Viengnam
出身:ラオス
ラオスは、東南アジアにある内陸の小国です。民族の数は49、人口は約650万人、国土面積は236,800km2です。エキゾチックな自然、伝統、文化を有する国として、旅行者の間で有名です。国の言葉は「ラオ語」で、会ったときの挨拶の言葉はSabaidee(サバイディー、英語のハローと同じ意味)です。
研究テーマ:
私の研究テーマは、携帯電話、特にスマートフォンを活用して、交通量や道路状況を推定することです。研究の目的としては、ラオスのような発展途上国における、交通や社会基盤資源の管理について、低コスト、または、費用効率の高いアプローチ方法を解明することです。
日本の文化はとてもユニーク!
―日本の文化についてのお話がありました。「日本文化」とは、2人にとって具体的には何を意味しますか。
(ヴィエンナムさん)日本人が毎日行っていること。例えば食文化だったり、ゴミの分別とか、毎日の挨拶とか。日本の文化はとても独特です。
(王さん)日本人は電話で話しながらお辞儀をすることがあります。特に、自分の担当教授に会うと必ずお辞儀をしますね。日本文化のなかには、中国に由来するものがあるかと思いますが、今の香港ではほとんどお辞儀をしません。
このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

「勉強会や飲み会での教授や仲間との活発な意見交換は、研究生活の大事な要素」王さん(左から2番目)
―王さんも今はお辞儀をしますか?
(王さん)えぇ、しますよ。
(ヴィエンナムさん)私もしますよ。
―ヴィエンナムさんも?本当に?
(ヴィエンナムさん)ええ、子ども達に「どうして電話で話しながらお辞儀するの?」と言われます(爆笑)。
(ヴィエンナムさん)日本特有の習慣がもうひとつあります。日本人は体が触れたときすぐに、「ごめんなさい」「すみません」(※1)と言いますね。悪いことをしたと思っていなくても「ごめんなさい」「すみません」という表現を使います。
(王さん)日本では人に触れることが失礼とされていますが、香港では普通のことです。
―日本ではお詫びが多すぎると思いますか。
(王さん)単に良いことだと思いますよ。とても礼儀正しくて、とても気持ちが良いと思います。
※1「ごめんなさい」「すみません」:SorryやExcuse meにあたる日本語です。2人はよく日本人がこれらの謝罪の言葉を口にすることに驚いているようです。なるほど日常的によく使ってしまう「ごめんなさい」「すみません」ですが、感謝の気持ちを表現するために使っていることもあるかと思います。例えば、落ちたものを拾ってくれた相手に対し、「お手間をお掛けしてごめんなさい」という謝罪の気持ちと「ありがとう」という感謝の気持ちを同時に表現するために、「すみません」と相手に声を掛ける場面はよくありますね。
東京で「学生」になって驚いたこと
(王さん)首都大学東京での学生生活は楽しいです。私の学科には正式なゼミと非公式な集まりの両方があります。勉強会や夕食を共にする会とか。
このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

「ラオスの学生や首都大学東京の留学生の仲間と秋の高尾山へ」ヴィエンナムさん(右上)
―夕食を共にする会って、どういう意味ですか?
(王さん)「飲み会(NOMIKAI)」(※2)です!
―なるほど!日本の飲み会を楽しんでいるわけですね。
(王さん)はい。飲み会ではみんな非常にリラックスしています。
香港では正式なゼミと授業にほとんどの時間を費やしていました。でも首都大学東京では勉強会や飲み会に多くの時間を費やします。こういった非公式な集まりが自分の勉強や研究にとって重要であることがわかりました。役に立つ情報をもらったり、意義ある議論に参加したりできるからです。
日本では、個人的なことを話せるのは飲み会のときだけです。先生のことを知っていても、飲み会まで待たなければなりません。その点は香港とは違います。最初の正式なミーティングさえ済ませれば、個人的なことを話せるからです。日本では、みんな飲み会のときだけ打ち解けています。
(ヴィエンナムさん)ラオス人も集まったり飲んだりするのが好きです。でも先生は普通同席しませんね。ここでは何度も研究室で飲み会をしますよ。
―2人とも飲み会でずいぶん忙しいようですね。
(王さん)そうですね。ですが、香港よりも教授や同じクラスの学生と仲が良いですね。会う機会も非公式な集まりの回数も多いので。
※2 飲み会:日本語で、Drinking Partyの意味。会議や学会の後、教授や仲間と集まり食事やお酒を共にし、和気あいあいと語り合う、非公式な会を指しています。日本人にはお馴染みの光景ですが、2人は飲み会の多さに驚いた様子でした。
Ka Ke Ha Shi(架け橋)としてのビジョン
このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

「研究室の教授と」ヴィエンナムさん(左から2番目)
このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

首都大学東京国際センターの前で。「首都大学東京での生活は、私達を支援してくれるスタッフや施設に恵まれていると思う」
―さて、これが最後の質問です。2人とも留学生として東京で勉強中ですが、それは同時に2人が自国と東京の間の「架け橋」となることを期待されているのかと思います。留学が終わった後のご自身のビジョンについて聞かせください。
(王さん)私は香港の大学で講師になりたいと思っています。日本文化を含め、人類学を教えたいです。
(ヴィエンナムさん)実は、以前日本に来る前に研究機関で働いていたんです。教壇に立つ機会はありませんでしたが。今は、日本で勉強した分野のことを教えたいと感じています。もちろん、日本人とラオス人を結び付けたいとも思っています。奨学金に応募して日本で勉強するよう、友人たちに働きかけをして勧めています。首都大学東京にはまだあまりラオス人の学生がいませんので。
―今回のインタビューのお話は、現在東京で学ぶアジアの留学生や、これから東京で学ぼうとしているアジア各都市の方々にとっても、大変貴重なものになったと思います。
今後東京での研究生活を充実して過ごされて、将来はアジアの架け橋として活躍してください。ありがとうございました!
|