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アジア通信
第22号 2012年9月27日発行
防災に対する東京の最新の取組をアジア大都市に紹介
〜ANMC21会員都市の、東京都総合防災訓練への参加記録〜(前編)

 日本では1923年に発生した関東大震災にちなみ、9月1日が防災の日と定められており、例年東京都の総合防災訓練も防災の日前後に行われています。
 アジア大都市ネットワーク21(ANMC21)共同事業「危機管理ネットワーク」では、危機管理に関する経験やノウハウを共有するため、毎年東京都が実施する本訓練期間にANMC21参加都市の救助隊と視察者を招いています。
 今年は救助隊としてソウル、シンガポール、台北市、新北市、視察には、バンコク、クアラルンプール、新北市が参加しました。救助隊と視察者の東京での活動の模様を、インターンとして参加した2名の大学生が報告いたします。


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東京臨海広域防災公園 オペレーションルーム

 こんにちは、インターンの佐藤優佳です。今回は、8月30日に行われた視察の模様をお伝えします。
 今年、東京都総合防災訓練へのANMC21都市からの視察には、危機管理部門と医療部門に分かれた総勢17名が参加しました。
 8月29日に来日し、さっそく翌30日早朝から、東京臨海広域防災公園を視察。この施設は、首都直下地震等の大規模な災害発生時に、現地における被災情報のとりまとめを行う災害現地対策本部等が置かれる防災拠点です。
 まず職員の方から施設についての概要、発災時の活動内容についての講義が本部会議室で行われました。洪水が主要災害であるバンコクの視察団は、洪水時の対策について積極的に質問されていました。

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免震構造の説明は、参加者の大きな関心を呼びました

 次にオペレーションルームの見学です。オペレーションルームに足を踏み入れたクアラルンプールの参加者は、960m2という広さと、壁一面に並んだモニター、災害対応業務ごとに色分けされ機能的に配置されたデスクに感心した様子でした。
 さらに地下へと進み、本部棟がどのような免震対策をしているのか実際目にして学びました。地震の振動をいかに抑制するかにこだわったその作りに、参加者は興味津々でした。
 東京臨海広域防災公園は、平常時には市民に向けた防災情報を発信する機能を持っています。本視察の最後には、防災体験学習ができる"東京直下72hour TOUR"に参加しました。これは、首都直下地震の発災から避難までの一連の流れを体験できるツアーです。実際の被災市街地が音響・照明・映像によりリアルに再現され、参加者は圧倒されている様子でした。日本と同様に地震が多く発生する新北市の参加者は、「同様の施設を作り、市民に地震の恐さを周知させたい」と、熱く語っていました。

 午後は、都庁での講義です。
 被災地における感染症対策についての講義では、特にバンコクの医療部門からの視察者が積極的に質問をしていました。東日本大震災発災後の迅速な対応により、感染者が比較的少なかったことに驚いている様子でした。
 また、東京都における防災都市づくりの講義では、木造住宅が密集している東京の街並みで、いかに災害時における被害を最小限にするかを学びました。
 各講義とも時間が足りないくらい活発な議論が交わされていました。

 

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昼食時 バンコクの参加者(医師)との記念撮影

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活発な議論が交わされた講義の様子

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 こんにちは、インターンの小野亜梨紗です。ここからは、海外救助隊が8月28日から30日にかけて行った総合防災訓練事前視察及び訓練の模様をお伝えします。
 海外救助隊は8月28日に日本に到着した後、東京都庁で行われた表敬訪問と歓迎会に参加しました。翌日からの視察と事前訓練、そして総合防災訓練に向けての意気込みを力強く語る皆さんの姿はとても頼もしいものでした。
 翌29日、海外救助隊は、東京消防庁消防技術安全所、第三消防方面本部消防救助機動部隊、消防学校、そして東京消防庁本庁の4か所で、視察と表敬訪問を行いました。まず、消防技術安全所では、所が災害現場における消防隊員の安全確保と効果的な活動の実施のために行っている様々な検証技術について学び、火災鑑定や危険物判定を行う実験室を見学しました。

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特殊災害対策車の前で記念撮影

 次に向かった第三消防方面本部消防救助機動部隊は、放射線災害や危険物等の化学物質災害等のNBC災害の対応に特化した部隊の活動拠点です。様々な特殊災害対策車、救出ロボット、測定資器材が配備されており、参加者の注目を集めていました。また、東日本大震災発災時に本部隊が活動を行った福島第一原子力発電所の事故対応についての講義では、参加者全員が深く感銘を受けた様子で、当時実際に現地で活動を行った隊員に対し、大きな賞賛の拍手が送られました。

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消防学校卒業試験のリハーサルを視察

 次の視察先の消防学校では、偶然にも、学生達が消防職員になる為の卒業試験のリハーサルが行われていました。厳しい日差しが照りつける中、難しい試験項目に次々と挑戦して行く学生達の姿に皆が圧倒されました。

 この日最後の訪問先である東京消防庁本庁では、表敬訪問や意見交換、さらに、救出救助に関する東京消防庁の活動基準についての講義が行われました。
 シンガポールの隊員は、先に視察した消防技術安全所に触れ、「この様な研究所が消防庁直属の施設としてあるのは、現場の声が直接、迅速に反映されるという点で素晴らしいと思う」と述べていました。また、消防学校での訓練の様子、そして学生達の規律や礼節を重んじる姿には、参加者全員が感心したようで、新北市は、「学校での徹底された教育方針を見て、日本の消防隊の技術の高さの理由が分かった」とコメントしていました。

 翌30日、海外救助隊は第二消防方面本部消防救助機動部隊との総合防災訓練事前訓練を行いました。訓練は倒壊した家屋の屋根をチェーンソーで開き、担架を使って中から被災者を助け出すという、防災訓練本番でのシナリオに沿って進められました。難易度の高い救助活動を、言語や文化の壁を乗り越えながら、東京と海外の救助隊が共に行う姿は、正にアジア各都市間の協力関係を象徴しているように思えました。

 各都市の方々は皆熱心にプログラムに参加しており、私たちインターンのインタビューにも快く答えてくださいました。次の号ではいよいよ9月1日の総合防災訓練当日の様子をお届けいたします!

 

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ピンとした緊張感の中、東京と海外救助隊が整列。
訓練が始まった。

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固い握手を交わす、東京とシンガポールの隊員