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アジア通信
第23号 2012年11月28日発行
防災に対する東京の最新の取組をアジア大都市に紹介
〜ANMC21都市からの参加者による、東京都総合防災訓練参加記録〜(後編)

 前回に引き続き、インターンとして本プログラムに参加した2名の大学生から、9月1日に実施された東京都総合防災訓練への海外救助隊の参加、また、視察の模様について、2人が見てきたもの、経験したことをレポートしてもらいます。

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被災者役の迫真の演技に緊張感が漂う

 こんにちは。インターンの小野亜梨紗です。私はバンコクの医療部門からの視察者に随行し、午前中は林試の森公園で行われた医療救護活動訓練の視察に向かいました。
 林試の森公園では、大規模地震が東京都を襲うというシナリオのもと、被害を受けた被災者が、各々の怪我の重症度により区分され、怪我に応じた治療を受けるという一連の流れ(トリアージ)の訓練が行われていました。訓練での被災者役は人形などではなく、全てボランティア参加者が行っていました。本物と見間違うほどのリアルな怪我のメイキャップが施され、そこに迫真の演技が加わることで、公園内は本当に数百人の怪我人で埋め尽くされているかのような緊張感が漂っていました。

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怪我の重症度を区分するために使われるトリアージタグの説明を受ける
 バンコク医療視察団の皆さんも訓練参加者の真剣さ、そして訓練の規模の大きさには圧倒されており、「これだけの人々が震災時に自分が成すべき事を把握し、チームワークを重んじて活動しているというのは素晴らしい」とコメントしていました。その他にも、公園内に展示されていたDMAT(Disaster Medical Assistance Team)カーと呼ばれる災害時医療支援車は先進的な取組として、大きな注目を集めていました。

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 こんにちは、インターンの佐藤優佳です。ここからは、バンコク・クアラルンプール・新北市からの危機管理視察者の模様をお送りします。

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10分で組み立てが可能な防災トイレ

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下水道管の洗浄実演
 私たちは、駒沢オリンピック公園で開催されている様々な防災に関する展示品を視察しました。
 まずは展示・体験エリアです。災害時通信訓練、自衛隊災害派遣展示、警察犬実演などが催されていました。写真は被害時における防災トイレです。汚水本管にマンホールを接続する事によりトイレとして活用しています。たった10分で組み立てられる様子を皆さん興味深くご覧になっていました。
 次に応急復旧訓練エリアです。東京の水道は漏水率3%という驚異的な技術とシステムを世界に誇っています。そのため水道局の震災対策展示エリアでは、視察団は積極的に日本の技術に関して質問をしていました。また下水道局による下水道管の洗浄実演も行われました。特殊な機械で下水道管を2度洗浄した後で、高性能カメラで内部を隈なくチェックし、ぴかぴかに洗浄された内壁を見て参加者は驚きの声を上げていました。
 特殊車両展示エリアでははしご車、パトカー、救助車など様々な車が展示されていました。クアラルンプールの参加者は、「自国には地震はほとんどないから貴重な体験だった」とコメントしていました。
 さて、毎年東京都総合防災訓練にはたくさんの都民が自主的に参加しています。台湾では市民の防災意識の低さが問題になっているようで、新北市の参加者が東京都民の防災意識の高さに感心していました。「自国に帰ったら、ぜひ今回の視察で学んだことを積極的に取り入れて意識の向上に努めたい」と、コメントしてくださいました。

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救出救助訓練を協力して行うソウルとシンガポールの救助隊員

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台北市と新北市の救助隊の活動により、怪我人が運び出される
 最後に救出救助エリアです。
 ここでは、東京都内に存在している木造住宅密集地域を想定し、震災により崩れた家屋が設置されています。警察・消防・自衛隊等の防災機関や、ANMC21都市の救助隊が連携し、被害状況等を事前に知らせないブラインド型の救出救助訓練が行われました。緊迫した訓練風景は、まさにアジア都市が一体となっていることが感じられました。普段は笑顔でフレンドリーな救助隊の方々が真剣に取り組む姿に、圧倒されました。また、視察者も私と同じ気持ちをその場で共有してくださったのでしょうか、救助が成功し、無事に被災者が倒壊した家屋から助け出された際は、大きな拍手が沸き上がっていました。
 私はこの時、このままお別れのあいさつもしないまま訓練が終わってしまうことに寂しさを感じていました。しかし、隊員の方が整列して立ち去ろうとした際、救助隊員の1人が群衆の中から私を見つけて、目を見て優しく微笑んでくれました。直接言葉は交わしていませんが、それだけでとても幸せな気分になりました。言葉が通じなくても、交流はできると感じた瞬間です。