第3部:東京都報告「東日本大震災から学んだ教訓」
「東日本大震災における警視庁の活動」(警視庁)
《発表概要》
東日本大震災の活動として、被災地の交通状況の情報収集、生存者の捜索、災害救助車両のための道路確保などを紹介した。宮城県、岩手県では、津波により家屋が原型をとどめない状況の中、取り残された住民を救助するためヘリによる捜索、重機を使った捜索、被災地の住民のメンタルケア、物資の運搬を行った。地震などの災害発生時には初期段階で被害情報を集約収集することが、迅速な救助のために重要であることを強調。警視庁の災害警備支援システムを活用し、交番、パトカー、白バイ、警備艇、ヘリコプターをフルに活用して被害情報、道路交通情報を収集するだけでなく、タクシー運転手などの民間人からの情報も集約している。これらの情報を東京都、東京消防庁に提供し、共有化を図っていること紹介した。
「東日本大震災を踏まえた大都市における災害の教訓(帰宅困難者対策)」(総務局総合防災部)
《発表概要》
東日本大震災の教訓として、帰宅困難者対策の現状と課題を説明した。被災地からは遠く離れた東京でも被害があったこと、公共交通機関が麻痺したため、特に勤務先から自宅に帰ることができない帰宅困難者が約300万人発生したとの報道があったことを紹介。また、首都圏直下型地震が起きた場合の帰宅困難者が392万人になるという予想を示し、都民に求めている行動としては、むやみに帰宅しない、家族と連絡をとるという心得を示した。また、職場にスニーカーを置いておくこと、家までの地図をつくっておくことを推奨している。これまでも、ガソリンスタンドやコンビニとは水の供給やトイレの利用ですでに協定を結んでいたが、今回の震災で不十分なことも明らかになった。今後の対策として、すぐに帰宅することの抑制、待機施設・食料提供の協定を結ぶこと、帰宅困難者に適切な情報提供を行うこと、帰宅支援ステーションを推し進めるとともに代替輸送手段を検討することも今後進めていく必要があることに言及。いずれも広域的な取り組み、民間事業者との協働、住民がお互いに助けることが重要であることを強調した。
「東日本大震災 ~福島第一原発事故活動概要~」(東京消防庁)
《発表概要》
福島第一原発における消防庁の活動を紹介した。まず、地震の概要を説明し、さらに防災教育の重要性をエピソードとともに説明した。津波を受けたある小学校の生徒が、学校の3階に避難していたが、近くの中学生が高台に避難するのを見て、小学生も一緒に高台に避難した。高台に避難をするという、日頃の教育の重要性を語るエピソードを伝えた。次に福島第一原発事故の際の活動の詳細を時間経過とともに紹介。3号機の火災のために緊急避難を余儀なくされたことなどの苦労したエピソードを紹介し、原子力発電所への放水作業の困難さを浮き彫りにした。6人の隊員が10ミリシーベルト以上被爆したことを披瀝し、原子力発電所への対応の際の安全管理の重要性を強調。自ら原子力発電所での対応を指揮した体験から、最後にあるべき対応方法を説明。放射能災害を想定した教育、作戦のアドバイザーとして高度な専門家、医師を部隊に編入させること、一緒に訓練を行うこと、隊員の不安感を払拭するために機材は最新のものを導入することを推奨、今後東京消防庁としても組織して検討する必要性があることに言及した。 |