バンコク都の大気質監視ボランティアプロジェクトバンコク
■ 概要
バンコク都では、第6次バンコク都開発計画(2002~2007年)において、環境施策の推進のために、人材の育成が不可欠であるとの認識を示した。それに伴って、大気環境管理の利害関係者が、多くの取組みにおいて主要な役割を果たした。
地域社会や、教師、大学生たちを環境保全ボランティア(EPV)として養成した「環境保全ボランティアプロジェクト」は、その好事例である。このプロジェクトでは、バンコク都の50区を代表する300名の環境保全ボランティアを養成し、また、ボランティア同士のネットワークが構築され、互いの知識と経験の共有を図った。
大気汚染が深刻化し、バンコク都民への影響の広がりが懸念される中、これに対応するため、2005年にバンコク都は組織改正を行い、これまでの環境品質管理課は大気質・騒音管理課に名称を改めた。大気質・騒音管理課は、大気質と騒音管理の主要な利害関係者の意識向上と、より広い参画を目的として、「大気質監視ボランティア(AMV)プロジェクト」を創設した。
「環境保全ボランティアプロジェクト」における経験および教訓は、「大気質監視ボランティアプロジェクト」の導入に活かされ、地域社会の代表者、大学生、バンコク都の職員やドライバーなどの利害関係者を、大気質監視ボランティアとして養成した。
大気質監視ボランティアを養成する研修は、講義と屋外での実習で構成される。研修の最後に、大気質監視ボランティアは指定された車両からの排気を観察するという、黒煙車両試験に合格しなければならず、不合格者は研修を受け直さなければならない。
■ 実施時期
■ 施策の特徴
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・ バンコク都の大気汚染の主な原因は自動車による汚染にあるが、工場や建設現場もその原因の一つである。このため、大気質監視ボランティアは、黒煙通報部隊(BSS)と大気質保全ボランティア(APV)の2つのグループから構成されている。
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・ 黒煙通報部隊は通勤途上に任務にあたり、黒煙車両を見つけた場合には報告するよう訓練されている。バンコク都は、黒煙通報部隊から黒煙車両の報告を受けると車両の所有者に警告書を送付し、車を修理のうえ試験場で黒煙試験を受けるように勧告する。試験結果はバンコク都と、さらには国土交通局にも通知され、毎年の車両免許の更新の判断材料とされる。
- ・ 一方、大気質保全ボランティアは工場や建設現場を監視し、汚染を報告する役割を担い、バンコク都はその報告に基づき対応する。
- ・ バンコク都では、大気質保全ボランティア、地域社会、その他関心のある団体に向けて会報誌を四半期ごとに発行し、最新情報、大気汚染削減事例、新しい規制など、大気汚染管理に関する情報と事例を共有する場として利用されている。また同時に、大気質保全ボランティア同士のネットワークも構築されている。
■ 実績・効果
- ・ 現在、200名の大気質保全ボランティアと532名の黒煙通報部隊が養成され、自動車汚染やその他の汚染源の監視に積極的に関わっている。これまでに7,255台の車両が汚染車両として報告されている。
- ・ ボランティア同士のネットワークは拡充され、2005年以降、大気質保全ボランティア向けの会報誌が大気質保全ボランティアと黒煙通報部隊に配布されている。
■ 費用
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約2,200,000バーツ(~63,000米ドル)(研修と会報誌の発行にかかる費用を含む。)
■ 本件問合先
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バンコク都環境部大気質・騒音管理課
Air Quality and Noise Management Division , Department of Environment, Bangkok Metropolitan Administration
(電話番号) +66-2-245-6095
(FAX) +66-2-246-8114
■ 関連リンク
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