マリーナ・バラージシンガポール
■ 概要
- 2008年のマリーナ・バラージ(ダム)完成は、シンガポールの水資源確保における重要な転機となった。マリーナ運河河口を仕切る形で作られたマリーナ・バラージは、シンガポールで15番目、都心部では初となる貯水池である。国土の6分の1に当たる1万haの集水地域を持つマリーナ貯水池は、シンガポール島最大かつ最も洗練された貯水池である。自然と技術工学融合の好例であるマリーナ・バラージは、新たな水供給源、洪水防止、新たな行楽地という3つのメリットをもたらす革新的なソリューションとなっている。
■ 実施時期
■ 施策の特徴
- 水供給
マリーナ・バラージは、幅350mのマリーナ運河河口をせき止め、海水の浸入を防ぐ形で建設されたダムである。バラージ建設により、マリーナ貯水池は雨水で自然に水が入れ替わり、淡水のため池となった。この淡水を最先端の膜技術で処理し、安全な飲料水にしている。
プンゴル貯水池、セラングーン貯水池とマリーナ貯水池を併せて、シンガポールの集水地域は2011年以降、国土面積の半分から3分の2に増大した。国内水供給の柱のひとつとして、マリーナ貯水池でシンガポールの現在の水需要の約10%を満たすことができる。
- 洪水対策
マリーナ・バラージは、市内低地域の洪水を緩和する総合的な洪水防止計画の一端を担っている。
豪雨時には、干潮であればダムの9つのクレストゲートを下ろして余分な雨水を貯水池から海に放出する。だが満潮の場合はクレストゲートを開けず、1台で1分間にオリンピックサイズの水泳プールの水をくみ上げられる巨大ポンプ数台を使って、余分な雨水を海に放出する。
- 行楽
マリーナ貯水池の水位は、潮の干満の影響を受けず、一年を通じ一定に保たれる。これにより、ボートやカヤック、ドラゴンボートなど様々なレクリエーション活動に格好の場所となっている。凧揚げやピクニック、結婚式など、マリーナ・バラージは社交・レクリエーション活動の場として人気を集めている。
マリーナ・バラージ内に設置された「持続可能なシンガポール」ギャラリーでは、環境維持のためのシンガポールの取組を、情報提供や体験コーナーを通じ紹介している。来場者は、シンガポール独自の環境維持の取組を紹介した6つの展示室を見学できる。双方向で最新のマルチメディアを使って、資源の限られた小さな国が、どのようにして環境を維持しつつ、急速な開発が進む地域社会のニーズに対応しているかを楽しく学ぶことができる。
- 環境維持
マリーナ・バラージは環境維持の好例として、2009年5月、政府建設局(BCA)が主催するBCAアワードの最高ランクに当たる「グリーンマーク・プラチナ・インフラ・アワード」を受賞した。
エネルギーと水の効率利用、発生する廃棄物の最小化など、バラージの設計・建設・運営の全てに環境原則が適用されている。たとえばバラージの象徴である緑の芝生を敷き詰めた屋上には、100%リサイクルのプラスチックと環境に優しい排水セルを使用している。この広い屋上庭園は、建物を熱から守る役割も果たしている。芝生と土壌が建物を日差しから守り、最高表面温度を19℃軽減している。シンガポール最大のソーラーパネルの集積地のひとつ、ソーラーパークでは、バラージの室内照明・コンセントに必要な日中電気使用量の約50%を発電している。
■ 実績・効果
- 技術革新や建築デザイン、環境に優しい特徴を評価され、マリーナ・バラージは国内外で数々の賞を受賞している。その一部を以下に紹介する。
- 1) 建設局2011年屋外空間・建築ユニバーサルデザイン賞
- 2) 国際水協会2010年グローバルプロジェクトイノベーション・アワード デザイン部門
- 3) 国際水協会2010年アジア太平洋地域プロジェクトイノベーション・アワードデザイン部門
- 4) 2009年BCA(政府建設局)アワード最高ランク「グリーンマーク・プラチナ・インフラ・アワード」
- 5) アメリカ環境技術者アカデミー2009年環境エンジニアリングコンテスト最優秀賞「優秀業績賞」
- 6) マサチューセッツ州2009年アメリカエンジニアリング会社協議会エンジニアリング・エクセレンス・アワード・コンテスト最高ランク「グランドコンセプター賞」
- 7) ASEAN 2007年優秀エンジニアリング業績賞
- 8) IES 2007年最高エンジニアリング業績賞
■ 経費
■ 本件問合先
- シンガポール公益事業庁経営企画部
Corporate Development Department, PUB, Singapore
(電話) +65 62358888 または +65 67313715
(メールアドレス) pubone@singnet.com.sg または sio_wei_hurng@pub.gov.sg
■ 関連リンク
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