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アジア通信
第18号 2012年1月31日発行
大都市の先進的な取組

 本コーナーでは、アジア大都市ネットワーク21(ANMC21)会員都市が行う先進的な取組を紹介しています。今回は、2011年11月に策定された「東京都防災対応指針」について、お伝えします。
新たな指針が目指す、高度な東京の防災力 〜「東京都防災対応指針」を策定しました〜
 2011年11月、東京都は「東京都防災対応指針」を策定しました。この指針は、科学的知見を有する専門家や区市町村の意見等を踏まえ、今後の東京の防災対策の方向性と具体的な取組を示しています。

防災対応指針における主な対応策の概要

◇地域の連帯の再生による防災隣組の構築
◇社会全体で取り組む帰宅困難者対策の再構築
◇発災時の安定的な情報通信の確保
◇流通網の途絶に備える物流・備蓄対策の推進
◇木密地域の不燃化に向けた総合的な対策の推進
◇事業者と連携した大都市における防災拠点の整備促進
◇東京湾沿岸の水害への備えの強化
◇エネルギー確保の多様化による都市機能の維持

「東京都防災対応指針」2011年11月策定

 2011年9月にソウルで開催されたアジア危機管理会議(「アジア通信17号」参照)において東京都が発表した帰宅困難者対策についても、指針の中で、対策の再構築が掲げられました。具体的な取組としては、帰宅困難者に関する条例の制定等による一斉帰宅行動の抑制や、帰宅困難者が一時待機する施設の確保、また、情報通信基盤の強化、さらには帰宅支援策の強化が盛り込まれました。

 また、大きな災害が起こり、自治体が甚大な被害を受け、公共機関による援助(公助)が十分に機能しない場合、地域住民の助け合い(共助)が大きな力を発揮します。指針では、住民一人ひとりの意識を高め、地域における自助・共助の力を再生していく先進的で効果的な取組を「東京都防災隣組(仮称)」として認定することとしています。この取組を都民に広く紹介することで、都内の他の地区での共助の取組につなげていきます。なお、昨年(2011年)10月29日に実施された東京都総合防災訓練(「アジア通信18号」)においても、共助による取組を拡充することを目的の一つとし、地域住民による倒壊家屋からの被災者の救出訓練が実施されました。

 東京都は今後、本指針に基づき、防災対策に係る具体的な施策を展開し、東京の防災力を高度化していきます。