各都市の首長などが出席し、原則として、毎年1回「総会」を開催しています。
■第5回台北総会 石原知事挨拶
皆さん、おはようございます。
このアジネットの大会が、いろいろ紆余曲折がありましたが、ここ台北で盛大に開かれることになりまして、
このために馬市長をはじめ今回の総会に向けてご尽力いただきました台北市の皆様に心から感謝いたします。
この場所を借りまして、提唱者として御礼を申し上げます。
いろいろトラブルはありましたが、せっかくこうやって大会が開かれたのですから、私たちは将来を眺めながら、
それぞれの国の頭脳部であり心臓部である大都市の代表として、いろいろな問題を積極的に討論して、
実りのある成果をつかもうと思っております。
私は今の世界の中で、将来の可能性ということで考えれば、このアジアこそ、中南米や中近東、あるいはアフリカ
に比べて、はるかに可能性に満ちた地域だと思っています。
そして、それを代表する大都市が今まで、例えば危機管理の問題、あるいは感染症の国際的な伝染の防止のため、環境問題、あるいは工業所有権を含めた産業振興などの大都市が取り組まなければならない問題について討論してまいりました。 これは、それぞれの都市だけではなく、アジア全体にもよきフルーツをもたらしたと思って
いますし、昨日私は台中の飛行機の工場を視察してまいりましたが、非常に高いレベルの技術にびっくりいたし
ました。 日本もまた航空技術に関しては、ある意味では自動車以上に可能性を持った技術を開拓しつつありま
すが、率直に言って、アメリカはヨーロッパを除いて自分たちの国以外の国が航空機産業に進出してくることを
非常に望みません。
しかし、かつて日本も「YS11」という飛行機を造り、非常に優秀な飛行機でしたが、外国でのマーケットをアメリカの
妨害でつぶされ、プロジェクトは途中で挫折しましたが、こうやって私たちアジアの有力な国々の大都市が集まっ
た限りにおいて、もしこれに参加している国の幾つかが合同して飛行機を造ったならば、極めて優秀な飛行機、
特にアジアが必要としている中距離を飛ぶ飛行機は簡単にできると思います。
そしてまた、そのマーケットも確保されると思います。
私は、前にインドのHALという会社を視察しましたが、非常に強い感銘を受けました。
また、一昨年ジャカルタの会議のついでにバンドンに行きまして、インドネシアの飛行機会社も視察してきましたが
、これまた非常に素晴らしい技術を持っていました。
バンドンの飛行機会社に比べて、台中の飛行機会社は倍近い売上を上げています。
マレーシアもその可能性を持っていますが、日本を加えてこういった国々が、新しい飛行機を造ったときに、
この飛行機は決して東京からジャカルタに飛んでいく必要はない。
インドはインドの中で飛び回ればいいし、東南アジアの中で飛び回ればいいし、また日本はかなり南北に長い国
ですから、そこでもユーティリティがあります。こういった可能性を、私たちはごく近い将来のものとして考えて
かかることで、このアジアの可能性というものを世界に示すことができると確信しています。
政治にはある象徴がいつも必要ですが、私はかねて考えを及ぼしていたこの中型の、アジアで最もニーズの
高い飛行機が数か国の協力ででき上がれば、これはアジアの可能性を、飛行機に限らず世界に示すことが
できると思います。
現に、日本は中曽根さんの時代に世界でいちばん優秀な戦闘機を造る計画を持ちましたが、アメリカが非常に
嫌ってこれをつぶされました。そして、今F15の改良型を日本とアメリカだけが飛ばしていますが、そんなものを
はるかに上回る飛行機でした。 しかしこれとて、例えばこれから中型の旅客機を造るアジアの国々が力をあわせ
れば、望むとおりのどんな中型機でもつくることができます。
そういう意味で、私たちはここに参加しているアジアの国々の将来に確信を持てると思います。
今、アメリカが飛ばしている宇宙船の頭脳部分のほとんどは日本製ですが、そういった技術も私たちはアジアのために喜んで供給しますし、そういったものを組み立てることで、アジア全体の可能性、繰り返して申しますけれども、これから進むべき世界の歴史の展開を、アジアこそが示唆することができると思っています。
この総会で、そんなものも含めていろいろな問題について大いに討論が行われて、さらに私たちがこの連帯を深め、かつまたアジアのアイデンティティをさらに強く確認していくことができれば、提唱者としてこれに勝る幸せはありません。
前倒しになりましたが、いろいろご無理を申し上げましたけれども、今日この会議を実現してくださった馬市長、
そしてまた台北のかたがたに心から感謝を申し上げます。
ありがとうございました。