■バンコク総会の議事概要 |
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■11月2日(月) |
【開会式】
タイ政府チャラワット・チャーンウィラクン内務大臣は、歓迎挨拶で次のように述べた。
・アジア大都市ネットワーク21では、大都市が直面する様々な課題に対する取組を行っていると聞いており、この会議を通じ、アジアの都市間の連携を強めていくことに期待する。
・アジア地域に共通する課題として、観光産業の育成が重要であると考えている。観光開発に伴う経済発展に際しては、互いの文化を尊重し、環境に配慮した形で行う必要があり、この総会で「持続可能な観光政策」について議論することには重要な意味がある。
・なお、バンコクでは、気候変動への取組も非常に重要と考えており、クリーンでグリーンな都市づくりを目指している。
石原慎太郎 東京都知事は次のように挨拶した。
先ほど内務大臣も述べられたが、地球環境の異変は危機的な状況にあり、早急に徹底した対策をとらなければ、取り返しのつかないところまできている。
G8サミット等で専門家を含めた温暖化に関する議論なども行われているが、遅々として進まない。都市こそが危機感を強く持ち、行動していくべきである。ともにリーダーシップを発揮していこう。
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【共同事業報告】
12の共同事業の中から、以下の7つの事業を取り上げ、事業の実績と成果を報告した。
① 「中小型ジェット旅客機の開発促進」(報告都市:東京)
② 「ウエルカム・アジアキャンペーン」(報告都市:東京)
③ 「都市の発展に向けたICT戦略」(報告都市:台北)
④ 「危機管理ネットワーク」(報告都市:東京・バンコク)
⑤ 「アジア感染症対策プロジェクト」(報告都市:東京・台北)
⑥ 「ジュニアスポーツ交流」(報告都市:東京・ジャカルタ)
⑦ 「都市と地球の環境問題」(報告都市:東京)
また、都市と地球の環境問題に関する発表に引き続き、環境施策に関する意見交換を行った。
共同事業に関する主な報告は以下のとおりである。
「中小型ジェット旅客機の開発促進」
本年10月にハノイで第8回共同事業別会議を開催し、アジア7都市から約50名が参加した。会議では、日本における国産ジェット旅客機開発の進捗状況が紹介され、アジア旅客機実現に向けた第一歩として、事業化成功を期待する気運が高まった。また、ベトナムの航空機産業の現状及び今後需要が見込まれる航空機像などについて、プレゼンテーションが行われた。会議の最後には、アジアの航空機産業の将来性等についてパネルディスカッションを行い、アジア全体の航空機関連技術の育成のためには、情報共有や人材交流の面等でアジアが連携を深めることが重要との認識で一致した。
「ウェルカム・アジアキャンペーン」
キャンペーンの円滑な実施を目的としてアジア観光促進協議会を組織しており、本年7月に東京で第8回目の協議会を開催した。これまでの主な成果は、観光促進に向けた各都市の成功事例の共有、会員都市と民間事業者との密接な協力関係の構築、会員都市の一体的なPRの促進の3点。また、新たに、パンフレットの相互配布協力を開始し、参加都市間の観光交流を促進するとともに、各都市のホスピタリティ向上に向けた取組を推進するためのセミナーを開催し、情報共有を図った。
「都市の発展に向けたICT戦略」
本年9月22日・23日に台北で「2009台北インテリジェント都市ICTフォーラム」を台北大学にて開催した。台北、東京、ジャカルタなど、ANMC21会員都市のほか、台湾政府経済省の担当官、IT企業の幹部等によるICTを活用した都市づくりに関する発表に続き、パネルディスカッションでは、活発な意見交換が行われた。
「危機管理ネットワーク」
本年9月に東京において「大規模災害発生時における大都市の危機管理」をテーマに第7回アジア危機管理会議を開催した。7都市から約70名が参加したほか、東京都総合防災訓練に、シンガポールと台北からレスキュー隊が参加し、合同で実践的な救助・救出訓練を行った。アジアにおける消防救助の指導者層の育成・強化を目指し、昨年11月に東京で消防救助研修を実施したほか、本年2月には東京からバンコクに講師を派遣し技術指導を行った。
「アジア感染症対策プロジェクト」
本年2月に東京で共同調査研究会議を開催し、アジアの大都市に共通する深刻な課題である結核を対象とした共同調査研究の計画を策定した。現在、研究計画に基づき、各都市が調査を実施している。今後、HIV/AIDS、新型インフルエンザ対策等についても、継続的に情報交換を行っていく予定。本年8月には、台北で、新興感染症対策における危機管理をテーマに研修を行い、新型インフルエンザ対策等に関する講義及び卓上訓練を通じて、最新の対応状況や課題について活発な情報交換を行った。
「都市と地球の環境問題」
昨年2月に「アジア・エネルギー環境技術ワークショップ」を東京で開催後、ワークショップで紹介された様々な省エネルギー技術や再生可能エネルギーを活用した取組みが各都市で進んでいる。なお、東京都では、来年4月から東京に存在する1,400の大規模事業所を対象とするキャップ&トレードプログラムを開始するなど、CO2の排出削減に取組んでいる。
なお、過日マニラを襲ったオンドイ台風による被害を記録した映像が紹介され、気候変動がもたらす影響の深刻さと、それに対する準備の重要性が訴えられた。
≪石原都知事発言≫ ポスト京都の枠組みを決定するCOP15の開催が来月に迫っている。地球環境の危機は待ったなしの状況であり、東京は、アジア大都市ネットワーク21のほか、世界大都市の気候変動に関する連携組織であるC40などを通じて、都市が行動することで国や世界を変えていく枠組みを持っている。アジアの大都市の首長間で地球環境問題に対する危機感をあらためて共有し、ともにリーダーシップを発揮していこう。
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【政策対話「持続可能な観光政策~ANMC21における都市間連携の展望~」】
「持続可能な観光政策」についてバンコク、ハノイ、ジャカルタ、ソウル、台北、東京からそれぞれ発表が行われた。
≪石原知事発言≫
都市の発表の中で、それぞれの都市の魅力について知ることができたが、それを踏まえて参加している都市全体の観光を促進することが、この会議の役割でもある。会員各都市は、いずれも歴史が古く、伝統や文化のほか自然等の観光資源も豊かである。アジアには多くの世界遺産がある。民間部門の活力も導入し、世界遺産をめぐるツアーを企画するなど、何か新しいことをやりましょう。
≪議論のまとめ≫
持続可能な観光政策のためには、地元の文化や伝統の尊重、自然や環境の保全が重要であり、観光産業分野における人材育成、連携したパッケージツアーの企画など、観光産業の質の向上に向けて各都市が協力していくことに合意した。
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【特別報告「新型インフルエンザ対策~人類への脅威に立ち向かうアジアの大都市~」】
WHO「新型インフルエンザワクチンに関する特別政策諮問ワーキンググループ」
委員・タイ政府保健省スパミット博士による基調講演があり、それに続きバンコク、ハノイ、ジャカルタ、マニラ、台北、東京からそれぞれ発表が行われた。
≪基調講演概要≫
H1N1は、すべての国にとっての脅威である。医療システムへの負荷が大きな課題であり、真に医療を必要としている重症患者が医療を受けられるよう、負荷を最低限に抑える必要がある。意識啓発による予防の徹底や、軽症者の自宅療養、ワクチンの接種なども対策のひとつである。アジアの都市が、今後、より効率的に第二波への対策を行うために、この総会での知識と経験の共有化が大変役立つ。
≪議論のまとめ≫ 今後、懸念されるウイルスの病原性の変異などに備え、人口が集中するアジアの大都市間で最新の知見や情報の共有を一層推進していくことに合意した。
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【次回開催都市の決定】
次回のANMC21総会は、2010年に東京で開催することが決定され、石原知事は、次のように挨拶した。
≪石原知事挨拶概要≫
2001年に第1回総会を東京で開催し、ネットワークが正式に発足してから10年である。この間我々は、大都市に共通する課題の解決に向け、共同で事業を実施し、着実に歩みを進めてきた。10年の節目ということで、大きな責任を感じてもいる。各都市の首長のみなさまに、来年、東京でお目にかかるのを楽しみにしている。
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