■クアラルンプール総会の議事概要 | ||||
■11月20日(木) | ||||
【開会】 ・ダトー・アブドゥル・ハキム・ボルハン クアラルンプール市長の挨拶 ≪クアラルンプール市長挨拶(概要)≫ アジアの潜在力を解き放ち、世界の中でアジアの存在感を高めていくには、アジアの主要都市がこのネットワークをよりよいものにするのと同時に、都市問題の解決や経済的競争力強化に向けた共同事業で協力していくことが必要である。 この課題は、現在の経済危機の中でさらに重要になってきており、このネットワークを通じて、都市の首長、実務者は一緒になってこの課題に立ち向かうことができると考えている。 絶えず考えや経験を共有することで、各会員都市の都市運営をさらに良いものにしていくためのアプローチを進める上で、ANMC21が強力な基盤となることを期待している。 ・石原東京都知事の挨拶 ![]() ・ダトー・スリ・ズルハスナン・ラフィク マレーシア連邦直轄地域大臣開会宣言 ≪マレーシア連邦直轄地域大臣開会宣言(概要)≫ 各都市は輸送機関・通信手段の発達で様々な障壁が下がり、人の移動、貿易やサービスが大きく増加してきている。金融、生産活動、サービス、通信などで都市の果たす役割は大きい。21世紀には都市への人口集中がさらに加速する。そういった状況下でも、我々は住民の生活向上や環境対策に努めるとともに、知識・技能ある人材集積を通じて海外からの投資促進で都市の創造性を高め、魅力ある都市づくりに努めなければならない。 環境問題をはじめ、複数の問題について全ての都市が社会、文化、価値観の相違を超えて受け入れられる解決法を協力して模索していくことがこのネットワークの目的である。 共同事業の強化をし、他の会員都市の参加も高まるようにして事業の成果を図っていきたい。アジア各都市が相互の経験、知識を共有することが住民の生活の質の向上につながる。 |
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【共同事業の報告】 ・12の共同事業の中から、以下の8つの事業を取り上げ、事業の実績と成果を報告した。 「中小型ジェット旅客機の開発促進」(報告都市:東京) ・2008年10月にインド・バンガロールで開催した第7回共同事業別会議には、アジア5カ国から過去最大の約100名が参加した。会議では、日本初の国産ジェット旅客機として期待される三菱リージョナルジェット(MRJ)の開発状況が紹介されたほか、旅客機の開発・製造におけるアジアの連携の重要性について参加者が認識を共有することができた。 「都市と地球の環境問題」(報告都市:東京) ・2008年2月に環境技術に関する実務者会議「アジアエネルギー環境技術ワークショップ」を開催した。会議では、各都市の温暖化対策、省エネ技術や省エネ対策、国際協力団体の事業展開についてそれぞれ紹介が行われた。また、都内の省エネ・再エネ施設の視察を行い、現場の声を聞く機会を設けた。 ・東京の最新の地球温暖化対策である、「大規模事業所への温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度の導入」とその意義について報告した。 「危機管理ネットワーク」(報告都市:東京・クアラルンプール) ・2008年8月に東京で実施した総合防災訓練にソウルと台北からレスキュー隊が参加し合同で実践的な救助・救出訓練を行ったほか、平成20年度からアジアにおける消防救助の指導者層の育成・強化を目指す消防救助研修を実施し、東京における研修生の受入と現地の状況に応じた技術指導を行う。 ・2008年10月にクアラルンプールで「都市の持続可能な発展と調和した危機管理」をテーマに、「第6回アジア危機管理会議」を開催した。マレーシアにおける災害情報の共有化の取組や、シンガポールにおける有害物質輸送時の監視手法など、各都市の先進的な取組事例が具体的に報告され、参加都市から高い関心が寄せられた。 「職員能力向上プログラム」(報告都市:東京・クアラルンプール) ・11の研修コースのうち、東京からは安全で美味しい水の供給や再生水の有効活用を目指して様々な施策を行っている東京の技術を学ぶ「水道の事業経営及び管路技術」と「下水道維持管理技術者研修」、効果的な行政運営や大都市共通の課題を学ぶ経験を通じて人的ネットワークの構築を目指す「行政運営ワークショップ」の活動状況を紹介した。 ・クアラルンプールからは、「都市整備マネジメント研修」について、研修の目的や手法の紹介のほか、2008年に行った「持続可能な都市マネジメントのための総合都市計画」、「アジア太平洋地域における持続可能な固形廃棄物処理」、「アジア太平洋地域における持続可能な都市交通」をそれぞれテーマとした研修内容を報告した。 「ウェルカム・アジアキャンペーン」(報告都市:東京) ・欧米、オセアニア、アジアからの旅行者を誘致するために、第7回アジア観光促進協議会を2008年10月にハノイで開催し、共同事業の取組状況の確認や、観光振興に関する共通課題についての意見交換などを図った。また、新たに、ポータルサイト上への各都市が推薦する旅行情報のリンク集の掲載や、会員都市のホスピタリティー向上を目指すための都市の様々な取組に関する情報共有化を図るようにした。 「都市の発展に向けたICT戦略」(報告都市:台北) ・経験と最優良事例を共有するなどの事業目的、台北とソウルで交わしたe-ガバメントとデジタル都市の構築に関する相互協力の覚書締結、今後の活動スケジュール、「UI-Taipei」計画の概要とこれまでの達成項目について報告した。 「アジア舞台芸術祭」(報告都市:ソウル) ・2008年10月、「アジアの文化芸術を通じた調和と交流『SOUL OF ASIA』」をテーマに第6回アジア舞台芸術祭をソウルで開催し、アジア各都市の人々の文化芸術を通じたコミュニケーションの場となった。今回はソウル、台北、東京に加え、バンコクが特別参加した。舞台公演のほか、屋外公演、ブース展示、組織委員会も同時開催され、組織委員会にはハノイとクアラルンプールも参加した。 「アジア感染症対策プロジェクト」(報告都市:東京・バンコク) ・結核、HIV/AIDS、鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ対策に関する共同調査研究の検討がなされ、最初の取り組みとして「結核の各都市実態調査」に着手する。 ≪石原東京都知事発言≫ 新型インフルエンザはアジアで発生する可能性が高いと指摘されており、アジア発とならぬよう防止の取り組みを進めることは重要。本プロジェクトでは、医師などの専門家による強固なネットワークが構築されてきているが、専門家同士の技術交流や迅速な診断法の開発など、さらなる取り組みを進めていくことを提案したい。 その他、下記の共同事業が共同事業報告書により報告された。 「女性の社会参画」 「アジア遠隔教育プロジェクト」 「アジアの若者の交流」 |
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【中期計画の採択】 ・期間中の目的の明確化や年次計画による事業の着実な実施を目指し、新たに各共同事業の中期計画を採択した。期間を3ヵ年(2008年度から2010年度)とし、計画終了後の2011年の総会において評価を実施し、次期計画に反映する。 ・本計画の策定に伴い、各事業の今後の取組を検討した結果、「アジア遠隔教育プロジェクト」は、都市間の取組から、アジアの大学間のより自由な取組へ発展させるため、共同事業としては収束させることとした。 | ||||
【新規共同事業の採択】 ・マニラから「廉価で安全、かつ短期に建築可能な住宅技術開発プロジェクト」(仮訳)の提案があり、ジャカルタの参加表明のもと、新規共同事業として採択した。 | ||||
【政策対話「洪水対策」】 ・クアラルンプールから「洪水緩和策」について基調報告があり、それに続きバンコク、ジャカルタ、マニラ、シンガポール、東京からそれぞれ発表が行われ、その後、意見交換が行われた。 基調報告 ○ クアラルンプール 「クアラルンプール市による洪水緩和策」 市の開発予算のうちの約1割を洪水緩和策に充当していること、緩和策として下水幹線の拡幅、洪水マップ作成などに加え、急激な開発によって増加する表層水を地下貯水池や透水性舗装の整備等によって削減する施策を紹介した。 「マレーシア 天然資源環境省 灌漑下水部によるクアラルンプールでの洪水緩和策」 う回水路、貯水池の整備、流域管理、マレーシア集中豪雨マニュアルの整備などを紹介したほか、洪水緩和の効果に加え、交通混雑の緩和の効果も目指したSMARTトンネルの整備の紹介と、整備後における河川氾濫の解消を実績として紹介した。 各都市報告 ○ バンコク 「バンコクにおける洪水防止システム」 海面より低地の地域があり、堤防でこれらの低地を含む土地を囲み、中を流れる運河の水位管理と川への排水を行うポンプ場整備を内容とする干拓システム等を紹介した。 ○ ジャカルタ 「ジャカルタの治水対策」 人口密集地の増加、地盤沈下、降水量の増加等で洪水や高潮の被害が生じているとし、運河の整備や干拓地での排水のほか、地盤沈下防止、小さな湖や貯水池の整備と維持管理、都市計画による土地利用の統制等の施策を紹介した。 ○ マニラ 大規模ポンプ場、降水量と水位の遠隔監視、洪水緩和水路や下水道整備等を施策として紹介し、これらの施策で浸水地域がマニラ首都圏域の20%(2002年)から0.63%(2009年)まで減少したことを報告した。 ○ シンガポール 「シンガポールの治水対策」 排水インフラの整備と改良による洪水多発地域の減少を報告し、開発計画と連携して治水事業を行う等の総合治水計画の策定を紹介した。また、住民に水を楽しんでもらうことが汚染や廃棄物投棄防止、水質向上につながると捉え、既存の貯水池や水路への親水スペース設置や、水と都市景観の調和を図る親水プログラムなどを施策として紹介した。 ○ 東京 石原知事が発言を行った。概要は以下のとおり。 ≪石原東京都知事発言≫ 平成20年10月に東京で開催された「C40気候変動東京会議」で共同行動をまとめ、今後洪水対策の先行事例についてホームページで情報発信していくので、参考にしてもらいたい。また、各都市の情報を是非提供していただきたい。情報交換や技術・人的交流を通じて、アジア全体の洪水対策を向上させ、次世代が安心して暮らせる都市の創造と発展につなげていこう。 | ||||
【特別報告「スポーツの振興」】 ・ジャカルタ、ソウル、シンガポール、台北、東京からそれぞれ発表が行われた。 ○ ジャカルタ 「スポーツイベント・イン・ジャカルタ2009」 ジャカルタ・インターナショナル10Kマラソン2009やバスケットボールトーナメント2009といったジャカルタにおけるスポーツイベント等を紹介した。 ○ ソウル 「ソウルにおけるスポーツマーケティングとスポーツ振興政策」 観光を活性化させるためのスポーツ施策、地域開発のためのスポーツインフラ整備、市民スポーツを盛り上げるための様々な取組を紹介した。 ○ シンガポール 「シンガポールにおけるスポーツ振興」 シンガポールのスポーツ振興戦略(シンガポール2010ビジョン)を紹介するとともに、2010年に開催されるユース・オリンピック・ゲームズのPRを行った。 ○ 台北 「台北におけるスポーツ政策:万人のためのスポーツ」 スポーツインフラの整備、水泳を学校教育に採り入れる取組やロードランの振興などを紹介するとともに、2009年に開催されるデフリンピックのPRを行った。 ○ 東京 「スポーツ都市東京の実現に向けて」 東京都スポーツ振興計画の概要や東京2009アジアユースパラゲームズなどのスポーツイベントを紹介したほか、2016年東京オリンピック・パラリンピック実現へ向けたPRを行った。 全体討議の中で、石原東京都知事から下記の発言があった。 ≪石原東京都知事発言≫ アジアの諸都市が将来にわたり継続的に世界的規模のスポーツイベントを開催していくことは、アジアの魅力と可能性を広く世界にアピールし、アジアのプレゼンスを高めることにもつながる。その中で東京都では、東京マラソンやアジアユースパラゲームズなどの取り組みを積極的に行っている。2016年東京オリンピック・パラリンピック招致に向けて各都市からのご支援を頂きたい。 石原東京都知事の発言を受けて、マニラから動議が提出され、参加全都市の支援を得て、ANMC21として2016年東京オリンピック・パラリンピック招致を強力に支援することに合意した。 【次回開催都市の決定】 |
・次回のANMC21総会は、2009年にバンコクで開催することを決定した。 ■11月21日(金) 【クアラルンプール宣言の採択】 |
・会議の結果をまとめ、クアラルンプール宣言を採択した。 ![]() ・クアラルンプール宣言に関し、議長コメントがクアラルンプール市から報道発表された。 ![]() 【参加都市代表によるコメント、共同記者会見】 | 参加都市代表によるコメント ![]() |